ECのCRMツール導入でよくある失敗パターン

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Eコマース市場の拡大にあわせEC事業者も急増し、新規獲得の環境が年々厳しくなっています。
そこで注目されているCRMによるリピート売上の拡大ですが、弊社にご相談にこられるEC事業者様の
中にはCRMツールを導入済みで全く活用できていないという失敗事例も多く耳にします。

今回の記事では、ECのCRMツール導入でよくある失敗パターンと、どうすれば失敗しないのか、
すでに失敗している企業はどう対応すればよいのかについてお伝えします。
   

そもそもECのCRMツールを導入する目的とは?

CRMというと業界や領域によって様々な文脈が存在し、異なる定義で語られることが多いですが、
弊社では小売(ECサイト)におけるCRMの目的とは既顧客からのリピート売上を増やすための取り組みと定義しています。
4Rコミュニケーション※を実現することによって顧客体験を向上させ、
最終的にはそのECサイトのファンを増やし、リピート売上を増やす長期的な取り組みです。

※4Rコミュニケーションとは
「誰に」「何を」「いつ」「どうやって」伝えるかを最適化することで、
顧客一人一人にあわせたコミュニケーションを実現し、顧客体験の向上、
顧客との長期的な関係構築によるLTV(顧客生涯価値)の向上を実現するという考え方

誰に    最適なターゲット Right target

何を    最適なメッセージ Right message

いつ    最適なタイミング Right timing

どうやって 最適なチャネル Right chanel

ECのCRMツール導入でよくある失敗パターン

ECのCRMツールを導入していてもうまく活用できていない代表的なケースをご紹介いたします。
これらは決して特殊な事例ではなく、弊社にご相談にこられるEC事業者様や
過去にコンサルティングを実施してきた現場で非常に多くみられるケースです。

1.CRMツールをメール配信システムとして使っている

 本来CRMツールは顧客にあわせたきめ細かいコミュニケーションを実現するためのツールにもかかわらず、
 実際には全員に同じ内容を一斉配信するメルマガ全配信や、単純な購入後ステップメールにしか
 活用できていないケースです。こういった施策はCRMツールよりも安価なメール配信ツールや
 多くのショッピングカートに標準で実装されている機能でも実現ができるので、高額な費用を払って
 CRMツールを導入している意味がなくなってしまいます。
 この様な場合は一言で言えばCRMツールを使いこなせていないことが原因です。
 ツールの導入前に導入しようと思っているツールが自社にとって最適なものなのか、
 ツール提供会社のサポートはどこまで期待できるのか等を調査してください。

2.設定工数がかかり過ぎている

 CRMツールならではのセグメント配信を実施してはいるものの、毎回のデータ加工やターゲット抽出、
 配信原稿の入稿に手作業の時間がかかり過ぎているケースです。
 本来は自動化することで工数を削減しなくてはならないのですが、
 一つ一つの設定に時間がかかりすぎているケースです。
 時間がかかりすぎているケースとしてはツールの操作性が難解である点や、
 CRMノウハウや時間がない点が挙げられます。
 効果的なCRM施策がインストールされているツール設定やCRM設定の自動化により工数削減が可能です。

3.プロジェクトが迷走し、施策が走り出さない

 複数のメンバーで意見を出し合い、最初から複雑な施策を実行しようとして
 プロジェクトが収拾がつかなくなり失敗するパターンです。
 ECサイトのCRMはきめ細かく設定を行えばどこまでも深堀ができる施策です。
 そのため、限られた時間で成果を出すには「木を見て森を見ず」とならないように
 どの施策が最も事業にインパクトを与えるかを常に考察する必要があります。
 また参加メンバーが多い程、意思決定が遅くなるので、メンバーを絞り迅速に意思決定することと、
 最初から100点を目指さず、想定される問題を潰したうえで仮説をベースに80点でスタートし
 ブラッシュアップしていくという考え方が重要です。BtoCのECサイトでは工数をかけ過ぎると
 費用対効果が合わなくなるので、売上インパクトと工数のバランスを考える必要があります。

4.費用対効果を考えずにCRMの運用を外部に委託している

 CRMの「べき論」を追求し過ぎると、実施しているCRM施策がどれだけ売上向上の
 インパクトを出しているかを考えず必要な作業を全て外部に委託してしまい、
 費用対効果を合わせることが難しくなります。
 実際の売上インパクトをもとに費用対効果があう形で取り組むことが重要です。
 外部の意見を参考にしながら自社のCRM施策の優先順位の見直しを行う必要があります。

5.CRM担当者の退職や休職で社内に分かる人間がいない

 特定の人材にCRMの運用を任せてしまうとその人間がいなくなった途端にCRMが回らなくなってしまいます。
 CRMツールでどのような施策がどんな目的で走っているのか、どんなデータをどう使って
 どのようなルールで配信されているのかを整理してメンバー間で共有しておくことが重要です。
 これはCRMの運用を外部に委託している際にも共通の問題として挙げられます。
 なるべくCRM施策を属人的にしないためには自動化できる施策はプログラムに任せる事で
 誰にでも同じCRM施策ができる環境を整えることが大切です。

CRMツール導入に失敗している企業がとるべき対応とは?

1.CRMツールの乗り換え

世の中には数多くのCRMツールが出回っており運用工数が高いCRMツールや、
そもそもEC向けではないCRMツールがたくさん出回っています。
そういったツールを無理に頑張って活用しようとしても、多大な労力がかかってしまい
費用対効果が合わなくなります。
CRMツールは長期に当たり活用することが前提であり、ツール活用方法にも一定の時間がかかるため
使い勝手の悪いツールや設定工数に時間のかかるツールはより使いやすいツールに乗り換えた方がよいです。

2.CRMコンサルタントの活用

CRMがうまくいかない理由がツールではなくノウハウの問題であれば、CRMコンサルタントに
現状分析と必要な施策のプランニング、実装までを依頼する方法があります。
しかしながら優秀なCRMコンサルタントを雇うにはそれなりの費用がかかるため、
ECの売上にそれなりの規模がないと費用対効果が合わないため注意が必要です。

3.CRMに知見のある人材の採用

CRM専任の人材を新たに採用することも選択肢の1つです。しかしながらCRMにおいて優秀な人材を
採用するのは至難の技です。そもそもCRMに知見のある人材が転職市場に少ないうえに、
引く手あまたのため優秀な人材は知名度のあるEC事業者や有力な支援事業者に取られてしまうためです。

4.社内でCRM人材を育成する

社内でCRM人材を育成することも選択肢の1つですが、こちらも上記同様に
そもそもの育成をできる人材が少ないことや育成に時間がかかることが問題です。
CRMベンダーやコンサルティングとともに自走して新たな取り組みをしながら
学習成長できる人材にCRMに取り組んでもらうことも1つの選択肢です。

まとめ

CRMツールの導入失敗を防ぐためには、CRMツールを導入しさえすれば自社のCRMの課題が解決する、
という幻想を捨てる必要があります。
CRMツールは課題解決道具の1つでしかないので、CRMの成否はそもそも自社はどのような課題を抱えていて
どのような戦略でどのようにツールを使うかにかかっています。
最低限、どんな課題をどのように解決すべきかという明確な考えをもったうえで
CRMツールを導入し活用していくことが重要です。

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