立ち上げ初期は楽天市場への出店で成長

株式会社タナベスポーツは、現会長の田邉宰至氏が1964年に設立したスポーツ用品販売会社です。大阪・天王寺にスキー用品を扱う小型店舗を開いたのが、同社の始まりで、現在の商号となったのは1976年。バブル経済の時代にはスキー熱が急上昇し、4店舗を構えるようになりました。インターネットバブルが起こった2002年ごろに楽天市場に出店。その後ECの売上を拡大しました。現在、スキー用品のEC売上高で業界1位です。会社全体売上高のうちECが6割を占め、残りは店舗での売上です。

EC事業では、約3年前まではECモールの売上が6～7割を占める一方、自社サイトはパワー不足の状態。自社で直接抱える顧客が増加しない限り、資産も増えないことから、自社サイトを重視する方向へと舵を切りました。

自社サイト重視へ舵を切り約3年でEC売上の5割以上に

顧客にとっては自社サイトで購入するメリットがなかったため、さまざまな工夫を凝らして集客を行いました。下記がその一例です。

・自社サイトの販売価格を最安値に設定
・もっとも速く商品を届ける
・ポイント還元は常時10％

その結果、現在では自社サイトがEC全体の5割以上を占めるまでに成長しました。

CRMを導入するもメルマガの一斉配信にしか活用できなかった

リピート対策を強化するためにCRMの取り組みを本格化させたのは、ここ数年です。私が経営に参画して1年目に、あるCRMツールを導入したのですが、ツールベンダー側のサポート体制や、やりたい事を実現するための時間的、工数的なハードルが高く、導入前のイメージ通りには活用できませんでした。『誰でも簡単に使用できる』という触れ込みだったのですが、導入したものの、提供先からはアフターフォローもなく、素地がない我々にとってはツールの使い方がまったくわからず、担当者もお手上げでした。せいぜい活用できたのは、メルマガの一斉配信の設定くらいです。

導入したCRMツールについては、たった1年で契約を解除。それに代わるものとして、複数のツールを検討していた矢先にコロナ禍が始まった。このため、いったんすべての計画を白紙に戻したという。

失敗経験をもとに「アクションリンク」を選び、リピーター売上増加！

その後、LTV（顧客生涯価値）を向上させるため、いくつかのCRMツールを提供している企業からヒアリングを実施しました。失敗の経験を踏まえ、導入後のフォローがしっかりしていて実績があるなど、不安を払拭できる相手先を探しました。魔法のようなCRMツールはなく、固定費がかかるため導入しっぱなしではだめです。そうしたことを経営に参画して１年目の失敗で感じていた。我々はシステムのプロではないので、『動画とマニュアルを見てください』というだけでは運用は無理です。

CRMツールの選定を慎重に吟味した結果、たどり着いたのがCRMツール「アクションリンク」でした。システムの導入は迅速に行われました。2021年9月末までにアクションリンクの導入を決定し、連携実績のあるカートシステムだったこともあり、導入決定から1ヶ月足らずの10月の半ばには準備が整いました。

導入後はリピート売上が増加しました。アクションリンクの機能のひとつ「鉄板シナリオ®️（アクションリンクにあらかじめインストールされている成果につながりやすい施策群）」が貢献していると思います。新たなアイデアとして取り入れた「在庫僅少メール」や、「閲覧済み商品の値下げ通知メール」もすぐに成果につながり、非常に満足しています。やりたい施策をすぐに実行に移すことができ、成果も可視化できることで迅速にPDCAを進めることができた結果、リピート売上の増加につながりました。

これらに加えて、定期的に行うディスカッション、システム改修への協力体制についても、いい距離感で一緒にやってもらえるので非常に助かるので、評価しています。

メルマガやLINEなどのメッセージ配信で月間数千万円規模の売上に

SNSについてはFacebook、インスタグラム、LINEのタイムライン、Twitterを活用しています。新しい動画の告知や新セールのキャンペーンなどの情報を流します。ただし、そこから販売に結びつくケースは多くありません。売上の多くはメルマガ配信やLINE配信などのプッシュ型のメッセージ配信によるものです。これらは開封率も流入率も高く、月間で数千万円規模の売上につながっています。