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EC売上30%増、コロナ禍でも急成長するアパレル企業の取り組みとは?

 

 

取材:通販通信ECMO

コロナ禍でファッション業界が苦戦している。(株)帝国データバンクが7月に発表した上場アパレル企業45社の業績調査によると、対象企業の8割が減収、7割が減益を訴えていた。コロナ禍でECにシフトしたとしても、店舗売上の規模が大きいほど、ECで売上を補完するまでには至らないケースも多い。こうした状況で、レディースブランド「axes femme(アクシーズファム)」などを全国88店舗で展開する(株)アイジーエーは、コロナ禍でEC売上を30%増に拡大し、店舗売上の減少をECで補完することに成功した。同社の五十嵐昭順社長とEC事業部マネージャーの田中健太郎氏に、コロナ禍での取り組みについて聞いた。


(株)アイジーエー・五十嵐昭順社長(左)、
EC事業部・田中健太郎マネージャー(右)

緊急事態宣言で昨年4、5月に全店舗が臨時休業

同社は全国に店舗を展開しているが、ECでは自社ECサイト「axes femme onlineshop」ほか、「ZOZOTOWN」、「Rakuten Fashion」などのECモールにもショップを出店している。

自社ブランド『axes femme』の女性らしいヨーロピアンヴィンテージの独自の世界観を重視していることもあり、ECの開始は自社ECサイトから。2008年にECサイトをオープンした。その後、ZOZOTOWNへの出店など、外部ECモールにも展開している。

2015年には店舗とECサイトのポイントを共通化。顧客情報を統合するオムニチャネルへの取り組みを本格化させ、店舗とECの相乗効果で売上を順調に拡大させた。ただ、全体の売上構成比のうち、8割は店舗。売上の大半を店舗売上が占めている状況のなか、昨年4月、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言により、4月と5月で全店舗が臨時休業を余儀なくされた。店舗売上の上位を占めていた池袋店は、コロナ前の週末には海外からの旅行客で賑わっていたのだが、店舗の営業再開後もインバウンド需要は一切なくなった。


アイジーエーの自社ECサイト「axes femme onlineshop」

全社を挙げてECシフトを敢行、キーポイントはオムニチャネル施策

この非常事態に直面した同社は、どのような対策をとったのだろうか? 五十嵐社長は「ECで売上を上げていく方針を掲げ、なりふり構わず、ECのために必要なことは何でもやりました。アプリをリニューアルし、『Rakuten Fashion』にも出店。特にECサイトを利用したことがないお客様に向けて、『店舗に行けなくてもECで安心・安全に購入できますよ』という呼びかけを、メールやLINE、アプリのプッシュ通知を含めて躊躇なく発信しました」と、当時の状況について語った。

ここでポイントになったのは、前述のオムニチャネル施策だ。五十嵐社長によると、オムニチャネルに取り組み始めた当初は、店舗スタッフによる反発もあったという。

「店舗で購入したお客様にECでの購入を案内し、2回目の購入時にはECで購入してもらう流れを作ろうとしたところ、店舗スタッフから反対の声が上がりました。ECに売上を取られてしまうと。しかし、ここでお客様を軸にすることに方針を転換していきました。購入する場所を店舗にするかECサイトにするか、選ぶのはお客様。店舗の売上がどれだけEC売上に貢献しているのか、という新たな指標も取り入れました。この方針がぶれなかったからこそ、コロナ禍でのECシフトがスムーズに進んだと思います」と、オムニチャネルへの取り組みが起点になったと話した。


3月25日にオープンした「axes femmeイオンモール四條畷店」

オムニチャネル施策がECシフトの原動力に

コロナ禍で店舗が休業になったとしても、店舗が会員としての顧客情報を持っていれば、EC購入の案内ができる。逆に店舗が顧客情報を持っていない場合、店舗利用者の連絡先情報がわからず、EC購入の案内を送ることができない。また、社内で店舗とEC部門の協力体制が取られていないと、こうした非常事態でもスムーズにEC施策を打ち出せないこともある。

同社ではコロナ禍の前、オムニチャネル施策導入時に自社商品のファンを軸にして、どのチャネルでも商品をスムーズに購入できる体制を整えていたことが大きかった。このことで、非常事態でのECシフトの大号令に、全社で対応することができたのだ。コロナ禍前のオムニチャネル施策が、同社を救う形となった。

店舗販売に長けたマーケティング戦略で成長も

コロナ禍前の同社の強みは、店舗でのマーケティングにあった。「駅ビルやイオンモールなどのショッピングモールに出店している店舗が多いのですが、お客様の嗜好によってフェミニンテイストを変えた商品を販売しています。例えば、池袋のような週末に20代が多く集まる場所では、ヤングテイストを入れたアイテムを取りそろえ、郊外の店舗では30~40代向けの大人テイストのアイテムを取りそろえるなど、地域性を考慮しています」(五十嵐社長)という。

そして、店舗は新規顧客開拓の位置づけで、まず店舗で顧客との接点を持ち、2回目以降の購入には、なるべくECを活用してもらうように促す。ECモールの位置づけも店舗と同じで、「ZOZOTOWN」や「Rakuten Fashion」で新規顧客を獲得し、自社ECでの購入につなげる。今年は「SHOPLIST.com by CROOZ」への出店も予定している。

こうした同社のマーケティング戦略は、オムニチャネル施策による相乗効果もあって会社の売上全体を順調に拡大させていた。だが、コロナ禍前のここ数年、その成長は鈍化していた。「ECでやらなければいけない施策はある程度わかっていたのですが、それが実践できていなかった」と五十嵐社長はその理由を語る。そして、コロナ禍によって奇しくもこれらの実践できていなかった施策を、一気にスタートすることになる。

昨年7月にはブランドの世界観溢れる「axes femmeクールマスク」を発売

ECシフトにはCRM施策が必須も、施策が停滞する状況に

コロナ禍で新規獲得のためのWEB広告を強化し、2回目の購入があったかどうかを主な指標にして、ステータスごとの広告施策を実践。コロナ禍で店舗での新規顧客獲得がこれまで通りに見込めなくなった分を補った。

そして、同社が最も必要性を感じていながら、コロナ禍前から実践できていなかったのがCRM施策だった。市場分析やマーケティング戦略で成長してきた会社だけあって、専用ツールを導入し、顧客のデータベースは整理されていた。「統計的な顧客データを持っていたのですが、それが施策に落としこめていなかった」(五十嵐社長)という状況。CRMの重要性を認識しつつも、CRMの専門家が社内にいるわけではなく、市場にあるさまざまなツールは社内で使いこなせるか不透明で決定打がなく、いずれも導入には至っていなかった。

CRMツール「アクションリンク」導入で打開

しかし、コロナ禍でCRM施策はすぐにでも始めたい「待ったなし」の状況。有効なアクションが早急に求められていた。この状況で同社は関係会社から、効果的なCRM施策が「鉄板シナリオ」として組み込まれており、すぐにでもCRMのアクションを開始できるCRMツール『アクションリンク』の紹介を受ける。

『アクションリンク』のプレゼンを聞いた五十嵐社長は、「これまでにない熱いプレゼンだった。(CRMを)『やらなあかん』という考えから『やるしかない』『これならできる』に変わった」と話し、これまでCRMツールの導入に悩んでいた状況から『アクションリンク』の導入を即決。そのプレゼンからわずか30日足らずで、『アクションリンク』のCRM施策を走らせる。

同社のEC事業部マネージャー・田中氏は「これほど短期間で導入できるとは思ってなかったので、まず導入のスピード感に驚きました」と当時の状況について語った。また、導入後の成果に関しても、さまざまな面で想定以上の効果があったという。


アクションリンクによるレコメンドメール配信イメージ

CRMツール「アクションリンク」導入で売上15%アップ

「弊社のアクティブ会員は約21万人いるのですが、このうち配信の許諾をいただいたメールを受け取りたい人に向けて、こちらが企画・制作している内容のメルマガを毎日配信していました。アクションリンクの導入によって、1週間のうち2日間の配信を自動メルマガで配信。カゴ落ちの防止やAIによる商品レコメンドで、メルマガ経由の売上が15%アップしました。作業量がかなり減少した上に、売上も拡大でき、費用対効果は抜群でした」と、田中氏はアクションリンク導入後の劇的な効果について話した。

今後のCRM施策について田中氏は「店舗で新規のお客様を獲得し、2回目以降の購入でECを利用してもらう流れができてきました。今後は在庫情報を活用した通知シナリオや、アクションリンクと連携したアプリからのプッシュ通知を強化していきたいと思います。アクションリンクの機能を深堀し、より精度の高いシナリオを自動化することで顧客体験を向上していければと思います」と今後のCRM施策についての意気込みを語った。

EC施策を継続、目標はEC化率5割

多店舗展開、マーケティング強化、CRMなどの各種施策によって、ECシフトを成し遂げ、店舗売上の落ち込みをカバーしてきた同社。現在はECの売上拡大とともに、店舗の売上も徐々に回復してきている。

五十嵐社長は「with コロナ」の現在から、「after コロナ」までも見据えている。「店舗の売上が回復したとしても、EC化率を高めたコロナ禍の取り組みは貫いて継続していきたい。ECを体験していないお客様はまだまだいます。ピーク時は店舗が144店ありましたが、現在は88店舗に減らしました。事業形態が変化しているのです。現在は3割程度のEC比率を5割以上に高めていきたい」(五十嵐社長)と、今後もEC比率を高める方針を掲げた。また、昨年30%増を達成したEC売上については、今年の目標をさらに30%上乗せした20億円に設定している。

「after コロナ」の店舗とECのあり方とは?

「after コロナ」の店舗とECのあり方について五十嵐社長は「店舗のあり方についても、コロナ後は新たなものに変わってくると思います。店舗とECは異なる利便性を持っています。ECでも店舗での接客のような体験を提供したり、店舗に訪れた人にECでの購入の仕方を案内するなど、相関関係を深めた取り組みが、新たなECと店舗の形になるかもしれません」と話した。

田中氏はコロナ禍でECに対するモチベーションが社内で変化したと感じている。「昨年からEC事業部単独ではなく、社員全員が参加するオンラインミーティングを実施し、ECでの販売スキームについて社員のみんなで考えたところ、さまざまな活発な意見が出てきました。そのミーティングで、商品化前の企画商品を提案し、お客様のニーズが高かったものを受注生産するクラウドファンディング型の『Red label』が誕生したのです」(田中氏)と話す。この企画からワンピース、コート、バッグなど、さまざまな商品の商品化が決定している。

五十嵐社長「お客様の要望に100%応えたい」

五十嵐社長は「ユーザーと商品をつくり上げるのは、コロナ禍で生まれた新たな取り組みです。社員は平均年齢28歳と若く、取り組みは早いです。お客様の要望に100%応えるべく、新たな声が聞こえたら全部やっていきたい」と今後の抱負を語った。

コロナ禍のECシフトで、止まっていた施策を一気に加速して実行した同社。ECシフトによってさまざまな副産物を産んだ。今後は海外販売にも積極的に取り組んでいくという。既存店舗に客足が戻ってきてはいるが、コロナ禍での現状を踏まえると、EC比率を高めることが今後の売上拡大にもつながりそうだ。店舗とECの新たな形を模索している同社が、今度どのような新しいサービスを展開していくのか、注目が集まる。

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