総合通販ECが取り組むべきCRM施策とは?

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前回の記事でお伝えしたとおり、同じEコマースでも、総合通販と単品リピート通販とではCRMの取り組み方が大きく異なります。
今回の記事では、総合通販ECに絞ったCRMの取り組み方についてお話します。

総合通販とは

総合通販とは様々なジャンルを扱うタイプのECサイトです。
業種では主にファッション、食品、雑貨などの複数商材を扱う専門店や、
多数のジャンルを取り扱うECサイトに多い形態です。
これに対して単一ジャンルの商品を定期購入を中心に販売する形態は「単品リピート通販」と呼びます。

それ以外の特殊な形態としては、総合通販の中の1つの取り扱いジャンルや商材として、単品リピート通販を扱う形態のECサイトも存在します。
この場合、新規顧客獲得のための戦略商材を単品商材として用意しその他複数商材を販売することで新規顧客に対するLTVを伸ばすというケースが多いです。

総合通販のビジネスモデル

通販のビジネスモデルは主に新規顧客の集客とCRM(リピーターの維持・育成)で成り立っています。
多種多様なジャンルの中で、集客に大きく貢献しているジャンルと、そうでない複数ジャンルが多数組み合わさって、ロングテールで全体として集客をもたらしている場合がほとんどです。
一度買った顧客がいかに繰り返し買うか、より高いものを買うか、他のジャンルにまたがって買うかがLTVを高め収益を拡大させていくポイントになります。
そのためにはサイト回遊率を高めるサイト構造を考え、次いで買いをさせるような仕組みが総合通販サイトには求められます。

総合通販のCRMが重要な理由

総合通販は複数の商品を扱う事から自社商品に加えて仕入れ商品や他のサイトでも手に入る商品を扱っている場合が多いです。
仕入れ商品が多い場合や食品などの原価が高い商品は新規顧客の集客にかけられるコストがあまり多くはありません。それに加えて、通販事業は新規参入も容易なため総合通販会社も単品リピート通販同様に厳しい競争に曝されています。
そのため集客のための獲得単価、つまりCPA(新規顧客一人あたりの獲得コスト)が高騰する傾向にあり、広告の費用対効果をペイするにはLTV(顧客生涯価値)を高めることが必要不可欠となります。

商品を多数扱う総合通販では、単品リピート通販と異なり一度購入したことのある顧客が
それぞれのきっかけで頻繁にサイトへ来訪して商品を見てまわる傾向が見られます。
特に毎シーズン商品ラインナップが変わるファッションブランドのサイトなどは顕著です。
そのため、サイト来訪して商品を閲覧したりカゴに入れたり何らかの行動をとった顧客を
いかに効率的にフォローし購入につなげるか、さらには休眠してしまいサイト来訪のない顧客に対しいかにサイト来訪や購入のきっかけを提供し掘り起こしを行うかで、初回購入後のLTVが大きく改善します。

総合通販のCRMで見るべきKPI

総合通販も単品リピート通販も、最終的なゴールは売上規模を拡大し事業を成長させることです。
そのためにはLTVが高い顧客を多く増やす、ということがゴール指標になります。
そのため下記指標については、カテゴリー全体と主要カテゴリでそれぞれ、
時系列の変化を最低限チェックする必要があります。

リピート売上=リピート顧客UU×LTV
LTV=単価×平均利用回数
リピート率(初回購入→リピート購入)

総合通販のCRM施策

総合通販で最も重要な施策が「見込客のCV転換」「休眠掘り起こし」の自動化です。
なぜなら多種多様なジャンルが存在し取り扱い商材の多い総合通販では、
工数の問題でそれぞれのお客様にあわせたフォローが難しく、
それがリピート購入の機会損失となっているためです。

逆に複数の商品が存在する総合通販の特徴をうまく活用すれば自社の既存顧客に対して様々なアプローチが可能となることからLTVを増加させられる可能性があります。

総合通販では具体的に以下のような施策の自動化で細かいフォローを積み重ねることが
LTV向上にとって非常に有効です。

・カゴ落ちフォローメール(カート投入後に離脱したリピーターを自動フォロー)
・商品閲覧後リタゲメール(商品詳細を閲覧後に離脱したリピーターを自動フォロー)
・ポイント有効期限メール(ポイントの有効期限アナウンス)
・クーポン有効期限メール(クーポンの有効期限アナウンス)
・レコメンドメール(複数商品展開しクロスセルを狙える場合)
・バースデーメール(生年月日を取得している場合)
・休眠掘り起こしメール(最終購入から一定期間経過している顧客へのクーポン配信)

これらの施策は複数商材×複数顧客で展開する総合通販では自動化しないとまず対応ができない施策ばかりです。
例えば商品閲覧後のリターゲティングメールはどの顧客がどのジャンルの商品をいくつ閲覧するか等は予め予測することが不可能です。そこで自動的に閲覧した商品に対するメールを取りまとめて配信できるシステム活用が最も効果的です。
またどのタイミングで商品閲覧後のリターゲティングメールを送付することが購買につながるのかという点も重要ですが人的リソースを費やしていては対応が難しいです。
過去の成功ノウハウに基づいてベストなタイミングでの自動配信することが最も効果的です。

さらに総合通販サイトは複数商材があることから売れ筋商品のレコメンドや消費者購買データからレコメンドすると高確率で購入する可能性が高い商品をAIにより自動的に選択をしてメール配信するといった手法も効果的です。

チャネル別の対策としてある程度メールで成功シナリオを構築できた後は、メールだけでなくLINEやDMなど別のチャネルでのアプローチも構築していくことでさらにリピートを促すことができます。

ここで気をつけたいのは、同時にあれもこれも進めると高い確率で収拾がつかなくなりますので、まずは効果の高いメールで成功パターンを確立し、施策の優先度を見極めたうえで
LINEやDMや電話などチャネルへ広げていき、計画的に進めることをおすすめします。

多くの総合通販企業でCRM施策をうまく行えていないケースの多くはCRMのノウハウ不足から最も効果的な施策の優先順位がつけられず、効果が薄いにも関わらず複雑なシナリオ設計を行ってしまったり、手を広げすぎて迷走してしまうパターンが見られます。

優良顧客にアプローチしてサイトの売上を上げるというシンプルな視点からのCRMの優先順位は上記で説明したように既に確立されていますので、そちらを最優先に行い余裕を見て更なるカスタマイズを重ねることが鉄則です。

まとめ

単品リピート通販でCRMというとステップメールばかりがフォーカスされますが、
総合通販ではそういった購入後のフォローシナリオよりも、購入寸前で離脱している
見込み客を刈り取ることがLTV向上をすぐに実現することにつながります。
消費者にとって総合通販サイトのように複数の商品が存在するという事はそれだけで選択ができるメリットがある反面、購入するかしないかの選択だけではなく、どちらを購入するか、どの組み合わせで購入するかという選択の多さが生まれます。多くの選択を重ねる中で離脱する顧客の背中を押すようにフォローメールを自動配信することで再び購買活動を促し既存顧客へのLTVを向上させることは可能です。
こういったCRM施策は、商品カテゴリーや商品点数の多い総合通販では手作業でやっていては工数が割にあいません。
精度高く自動化を進めていくことが総合通販のCRMでLTVを増やすために重要です。

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