ECサイトのリピート率を改善しLTVを高めるためにやるべきCRM施策とは?

ECサイトの売上を安定して伸ばすためには、新規顧客を獲得するだけでなく、一度購入した顧客に継続して利用してもらうことが重要です。
新規顧客の獲得に成功しても、その多くが一度しか購入しなければ、広告費や販促費を回収することが難しくなります。
一方、2回目、3回目と購入する顧客が増えれば、顧客一人あたりの売上が高まり、収益の安定にもつながります。
このようなEC事業の継続性を確認するうえで、特に重要な指標が「リピート率」と「LTV」です。

本記事では、リピート率とLTVの違いや関係性、具体的な計算方法、数値が伸びない原因、改善に役立つCRM施策について解説します。

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ECサイトにおけるリピート率とは

リピート率とは、初回購入をした顧客のうち、その後2回目以降の購入に至った顧客の割合を示す指標です。

一般的には、次の計算式で求められます。

リピート率=一定期間内に再購入した顧客数÷初回購入者数×100

例えば、ある月に商品を初めて購入した顧客が1,000人おり、そのうち200人がその後再購入した場合、リピート率は20%です。

リピート率を確認することで、初回購入後の顧客を継続購入につなげられているかを把握できます。

ただし、リピート率を計算するときは、対象とする顧客や期間を明確にすることが重要です。集計条件が毎回変わると正しく比較できないため、「初回購入から90日以内」「初回購入月ごと」など、一定のルールを設けて管理しましょう。

リピーター率との違い

リピート率と混同しやすい指標に「リピーター率」があります。

リピート率が、初回購入者のうち再購入した顧客の割合を示すのに対し、リピーター率は、特定の期間に購入した顧客全体のうち、リピーターが占める割合を示します。

例えば、ある月の購入者が500人で、そのうち過去にも購入したことがある顧客が200人だった場合、リピーター率は40%です。

両者は似ていますが、確認できる内容が異なります。

  • リピート率:初回購入者を継続購入につなげられたか
  • リピーター率:現在の売上をどの程度リピーターが支えているか

初回購入後の施策を評価する場合はリピート率、顧客構成や売上の安定性を把握する場合はリピーター率が適しています。

LTVとは

LTVとは「Life Time Value」の略で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれます。顧客一人が、自社との取引期間を通じてもたらす売上や利益を表す指標です。

ECサイトにおけるLTVは、簡易的には次の計算式で求められます。

LTV=平均購入単価×平均購入回数×平均継続期間

例えば、平均購入単価が5,000円、年間の平均購入回数が4回、平均継続期間が3年の場合、顧客一人あたりのLTVは6万円です。

ただし、この計算方法では商品の原価や配送費などが考慮されません。事業の収益性をより正確に把握したい場合は、売上ではなく利益をもとに計算します。

LTV=平均購入単価×粗利率×平均購入回数×平均継続期間

どちらの方法を使う場合でも、社内で計算方法を統一し、継続的に推移を確認することが大切です。

リピート率とLTVの関係

リピート率とLTVは、密接に関係しています。

初回購入者のうち、2回目以降も購入する顧客が増えると、顧客一人あたりの購入回数や継続期間が伸びます。その結果、LTVも高まりやすくなります。

例えば、平均購入単価が5,000円の場合、一度しか購入しない顧客から得られる売上は5,000円です。一方、同じ顧客が年間に4回購入すれば、年間売上は2万円になります。

このように、客単価を変えなくても、購入回数を増やすことでLTVを高められます。

また、LTVが高まれば、新規顧客の獲得にかけられる費用の上限も広がります。

顧客一人を獲得するために5,000円の広告費がかかった場合、初回購入だけでは十分な利益が残らないこともあります。しかし、その顧客が継続購入し、最終的に数万円の利益をもたらすのであれば、中長期的には広告費を回収できます。

したがって、広告施策を評価する際は、初回購入時の売上やCPAだけでなく、その後のリピート率やLTVまで確認することが重要です。

リピート率を正しく分析する方法

リピート率は、全体の平均値を見るだけでは、改善すべきポイントを特定できません。

初回購入時期、購入回数、商品、流入経路など、複数の切り口で分析しましょう。

初回購入月ごとに確認する

初回購入月ごとに顧客を分け、その後のリピート状況を追跡する方法です。

例えば、1月に初回購入した顧客、2月に初回購入した顧客、3月に初回購入した顧客に分け、それぞれが初回購入から30日後、60日後、90日後までにどの程度再購入したかを確認します。

この方法を用いると、実施したキャンペーンやCRM施策によって、リピート率がどのように変化したかを比較できます。

ただし、直近に初回購入した顧客は、再購入できる期間が短くなります。異なる月を比較するときは、「初回購入から90日以内」など、観測期間をそろえることが重要です。

購入回数ごとに確認する

顧客がどの段階で離脱しているかを把握するためには、購入回数ごとの転換率を確認します。

具体的には、次のような数値です。

  • 初回購入から2回目への転換率
  • 2回目から3回目への転換率
  • 3回目から4回目への転換率

特に重要なのが、初回購入から2回目への転換率である「F2転換率」です。

初回購入者は、まだ商品やブランドへの理解が十分ではありません。そのため、既存顧客の中でも離脱しやすく、2回目の購入につなげるためのフォローが必要です。

購入回数別に分析することで、初回購入後のフォローを強化すべきなのか、複数回購入した顧客の定着施策を見直すべきなのかを判断できます。

商品やカテゴリーごとに確認する

リピートしやすさは、商品によって異なります。

食品、化粧品、健康食品、日用品など、一定期間で消費される商品は、再購入につながりやすい傾向があります。一方、家具や家電など、購入頻度が低い商品では、同一商品の買い替えだけをリピートとして考えるのは適切ではありません。

購入頻度が低い商品を扱う場合は、関連商品の購入や別カテゴリーへの移行を含めて分析する必要があります。

商品別のリピート率と購入間隔を確認すると、顧客に再購入を案内すべきタイミングも判断しやすくなります。

流入経路やキャンペーンごとに確認する

初回購入時の流入経路によっても、リピート率は異なります。

自然検索、Web広告、SNS、比較サイト、アフィリエイトなど、流入経路別にリピート率やLTVを確認しましょう。

初回購入数が多い広告であっても、値引きだけを目的とした顧客が多ければ、その後の購入につながらない可能性があります。反対に、新規顧客の獲得単価が多少高くても、継続購入につながりやすい流入経路であれば、最終的な収益性は高くなる場合があります。

新規顧客獲得施策は、CPAだけで評価せず、流入経路ごとのリピート率やLTVまで確認することが大切です。

ECサイトのリピート率とLTVが伸びない原因

リピート率やLTVが低い場合、CRM施策だけに問題があるとは限りません。商品、集客、購入体験、購入後のコミュニケーションなど、複数の原因が考えられます。

顧客に商品やショップを忘れられている

商品に不満がなくても、再購入のタイミングでショップを思い出してもらえなければ、リピートにはつながりません。

ECサイトでは、実店舗のように偶然再訪してもらう機会が少ないため、メールやLINE、SMSなどを活用し、継続的に接点を持つ必要があります。

特に消耗品の場合は、商品を使い切る時期に合わせて案内を送ることで、再購入のきっかけを作れます。

商品の価値が十分に伝わっていない

初回購入時の情報だけでは、商品の使い方や特徴、他の商品との違いを十分に理解してもらえない場合があります。

顧客が商品価値を実感する前に使用をやめてしまえば、再購入にはつながりません。

購入後は、正しい使い方、商品のこだわり、活用方法、よくある質問などを案内し、商品への理解を深めてもらうことが重要です。

初回購入時の期待と実際の商品に差がある

広告や商品ページで過度な表現を使用すると、購入前の期待が必要以上に高まり、実際に商品を使用した際に不満が生まれやすくなります。

初回購入数を増やすための訴求が、結果としてリピート率を下げてしまうケースもあります。

リピート率が低い場合は、購入後の施策だけでなく、広告やランディングページ、商品ページの表現も確認しましょう。

購入体験に不満がある

商品に満足していても、ECサイトが使いにくい、希望する決済方法がない、配送が遅い、梱包に不備があるといった問題があれば、再購入を避けられる可能性があります。

リピート施策を実施する前に、顧客がストレスなく商品を探し、注文し、受け取れる環境を整えることが必要です。

顧客に合わない情報を一斉配信している

すべての顧客に同じ内容を配信しても、興味や購入状況に合わなければ反応されません。配信回数が多すぎると、メールやLINEの配信停止につながる可能性もあります。

購入商品、購入回数、最終購入日、累計購入金額などをもとに顧客を分け、それぞれに合った情報を届けることが重要です。

リピート率を改善してLTVを高める7つの施策

ここからは、ECサイトのリピート率を改善し、LTVを高めるための具体的な施策を紹介します。

1.購入直後からステップメールを配信する

初回購入後は、顧客との関係を築くうえで重要な期間です。

購入完了メールや発送通知だけで終わらせず、商品が届いた後の利用状況に合わせて、段階的に情報を配信しましょう。

例えば、次のような内容が考えられます。

  • 購入直後:購入へのお礼と今後の流れ
  • 商品到着後:正しい使い方や保管方法
  • 使用開始後:効果的な活用方法やよくある質問
  • 一定期間後:使用感の確認や問い合わせ窓口の案内
  • 再購入時期:関連商品や再購入の案内

購入直後から売り込みを続けるのではなく、顧客が商品を活用するために役立つ情報を提供することが大切です。

顧客が商品の価値を実感できれば、自然な形で2回目の購入につながりやすくなります。

2.再購入に適したタイミングで案内する

リピート施策では、内容だけでなく配信するタイミングが重要です。

まだ商品が十分に残っている段階で案内しても、購入の必要性を感じてもらえません。反対に、商品を使い切ってから時間がたつと、別のショップや商品を選ばれる可能性があります。

過去の注文データから商品ごとの平均購入間隔を確認し、商品を使い切る少し前に案内しましょう。

顧客ごとの購入間隔をもとに配信時期を調整できれば、より適切なタイミングでアプローチできます。

3.購入履歴や行動に合わせて配信する

一斉配信だけでは、顧客一人ひとりの関心に合わせた提案が難しくなります。

次のような情報を活用し、顧客を分類して配信内容を変えましょう。

  • 初回購入商品
  • 購入回数
  • 最終購入日
  • 累計購入金額
  • 閲覧した商品
  • カートに入れた商品
  • 保有ポイント
  • メールやLINEへの反応

例えば、初回購入者には商品の使い方やブランドの特徴を伝え、複数回購入している顧客には関連商品を提案します。

長期間購入していない顧客には、過去の購入商品や前回の購入時期に合わせて、再訪のきっかけとなる情報を届けると効果的です。

4.関連商品を提案する

LTVを高めるには、同じ商品を再購入してもらうだけでなく、関連商品や別カテゴリーの商品を購入してもらうことも重要です。

購入履歴に合わせて、相性のよい商品や一緒に使用できる商品を提案しましょう。

例えば、アパレルECでトップスを購入した顧客にコーディネートできるボトムスを提案したり、食品ECで購入商品に合う調味料やセット商品を案内したりする方法があります。

ただし、購入商品と関係のない商品を多数紹介すると、顧客にとって不要な情報になってしまいます。購買データや閲覧履歴を活用し、関連性の高い商品に絞ることが大切です。

5.ポイントや会員ランクを活用する

ポイント制度や会員ランク制度は、次回も同じECサイトを利用する理由を作る施策です。

ポイントの有効期限が近づいた顧客に通知したり、次の会員ランクまでに必要な購入金額を案内したりすることで、再購入を促せます。

会員ランクに応じて先行販売、限定商品、送料無料などの特典を用意すれば、値引きだけに頼らず、継続利用のメリットを伝えられます。

ただし、制度が複雑すぎると顧客に理解されません。ポイントの貯まり方や特典の内容を分かりやすくし、顧客がメリットを実感できる設計にしましょう。

6.購入体験とアフターフォローを改善する

リピート率を高めるためには、販促メッセージだけでなく、購入前から商品到着後までの体験全体を改善する必要があります。

次のような点を確認しましょう。

  • スマートフォンで商品を探しやすいか
  • 購入手続きの入力項目が多すぎないか
  • 希望される決済方法を用意できているか
  • 送料や配送予定日が分かりやすいか
  • 梱包や配送に問題がないか
  • 返品や交換の方法が明確か
  • 問い合わせに迅速に対応できているか

また、商品に不満を持った顧客が、そのまま離脱している可能性もあります。

購入後に問い合わせ窓口や返品・交換方法、よくある質問を案内し、不満や疑問を早い段階で解消できるようにしましょう。適切なフォローによって、顧客との関係を立て直せる場合があります。

7.休眠顧客に再購入のきっかけを作る

過去に購入したものの、一定期間購入していない顧客を休眠顧客と呼びます。

休眠顧客の中には、商品への不満から離脱した人だけでなく、単に商品やショップを忘れている人も含まれます。

最終購入日や過去の購入商品をもとに顧客を分類し、次のような情報を配信しましょう。

  • 過去に購入した商品の再入荷情報
  • 新商品やリニューアル商品の案内
  • 季節に合わせた商品提案
  • 保有ポイントや有効期限の通知
  • 過去の購入商品に関連するコンテンツ
  • 休眠顧客限定のキャンペーン

すべての休眠顧客に大幅な割引を提供する必要はありません。まずは顧客にとって有益な情報を届け、それでも反応がない顧客に限定してクーポンを配布するなど、段階的にアプローチしましょう。

商材によって有効なリピート施策は異なる

効果的なリピート施策は、取り扱う商品やECサイトの販売形態によって異なります。

自社の商品特性に合わせて施策を設計することが重要です。

総合通販の場合

多くの商品を扱う総合通販では、顧客ごとに購入商品や関心が大きく異なります。

そのため、すべての商品に個別のステップメールを用意するよりも、顧客の行動をきっかけにした自動配信が有効です。

例えば、次のような施策が考えられます。

  • カートに商品を入れたまま離脱した顧客への通知
  • 商品を閲覧したものの購入しなかった顧客への案内
  • 購入履歴に応じたレコメンド
  • ポイント有効期限の通知
  • 誕生日や会員登録日に合わせた配信
  • 在庫切れ商品の再入荷通知

顧客の行動や購入履歴をリアルタイムに捉え、適切なメッセージを自動配信できる仕組みが重要です。

単品通販・定期通販の場合

健康食品や化粧品などの単品通販では、商品を正しく継続して使用してもらうことがリピートにつながります。

購入後は、商品の使い方、利用を続ける理由、実感しやすい使用方法などを段階的に伝えましょう。

定期購入の場合は、継続を促すだけでなく、顧客が不安なく利用できる環境を整えることも必要です。

配送周期の変更、休止、商品変更などの手続きを分かりやすくすることで、解約以外の選択肢を提示できます。

CRMを活用してリピート施策を自動化する

リピート施策では、顧客ごとに適切な内容を、適切なタイミングで届ける必要があります。

しかし、顧客数や商品数が増えるほど、購入履歴や行動を人の手で確認し、個別に配信することは難しくなります。

そこで有効なのが、CRMツールを活用した施策の自動化です。

CRMツールを導入すると、顧客情報や購買データを一元管理し、条件に当てはまる顧客へ自動でメッセージを配信できます。

例えば、次のような施策を自動化できます。

  • 初回購入後のステップメール
  • 商品ごとの再購入時期に合わせた通知
  • カゴ落ち・閲覧後のフォロー
  • 購入商品に応じたレコメンド
  • ポイント有効期限の通知
  • 誕生日や会員ランクに応じた配信
  • 休眠顧客の掘り起こし
  • 優良顧客への限定案内

メールだけでなく、LINEやSMSを組み合わせれば、顧客が確認しやすいチャネルで情報を届けることも可能です。

施策を自動化することで、運用担当者の作業負担を抑えながら、継続的にリピート率とLTVの改善に取り組めます。

リピート率を改善するときの注意点

リピート率を改善する際は、短期的な数値だけを追わないことが大切です。

クーポンや値引きを繰り返せば、一時的に再購入を増やせる可能性があります。しかし、割引がなければ購入しない顧客が増えると、売上が伸びても利益が残らなくなります。

リピート施策を評価するときは、次の指標もあわせて確認しましょう。

  • F2転換率
  • 平均購入回数
  • 平均購入間隔
  • 客単価
  • 粗利率
  • LTV
  • クーポン利用率
  • 配信停止率
  • 休眠率
  • 解約率

また、配信回数を増やしすぎると、顧客に負担を与える可能性があります。

開封、クリック、購入、配信停止などの反応を確認しながら、配信する内容や頻度を調整しましょう。

まとめ

リピート率は、初回購入者を継続購入につなげられているかを示す指標です。リピート率が高まると、顧客一人あたりの購入回数や継続期間が伸び、LTVの向上につながります。

ECサイトのリピート率を改善するためには、購入直後からのフォロー、再購入時期に合わせた通知、顧客ごとのパーソナライズ、関連商品の提案、購入体験の改善などが必要です。

まずは、初回購入月や購入回数、商品、流入経路ごとにリピート率を確認し、どの段階で顧客が離脱しているかを特定しましょう。

そのうえで、顧客の購入履歴や行動に合わせたCRM施策を実施することが重要です。

顧客数が増え、手作業での対応が難しい場合は、CRMツールを活用して施策を自動化する方法もあります。リピート率だけでなくLTVや利益も継続的に確認しながら、中長期的に顧客との関係を築いていきましょう。

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執筆者情報

中村 隆嗣 中村 隆嗣

株式会社ファブリカコミュニケーションズ アクションリンクチーム 部長

2003年に北国からの贈り物へ入社。自社サイトの立ち上げから参画し月商3億円を超える成長まで導く。楽天/Yahoo!/Amazon/ぐるなびなど全店のマーケティング戦略責任者として各モールにおいて数々の賞を受賞。 2014年株式会社メディックスに入社し、年商2500億規模の大手製薬会社や外資系アパレルブランドなど、メーカー直販ECの事業コンサルティングを手がける。 コンサルティング先で多く見られたCRMの課題を解決すべく、2018年アクションリンクを立ち上げ、2023年ファブリカコミュニケーションズにジョイン。現在に至る。

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