CRMで休眠顧客を減らすために効果的な取り組みとは?
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ECサイトのリピーターを増やすうえで避けては通れないのが「休眠対策」です。
休眠とは前回の購入から長期間が経過してしまいリテンションが難しくなってしまっている状態を指します。
今回の記事ではこの休眠顧客にどうアプローチすることで効果的にリピーターを増やすことが出来るか、具体的な取り組みをいくつかお伝えします。
どんな顧客を休眠顧客として扱えばよいか?
購入された顧客の中には、商品やブランドやサービスを気に入っていただき、ショップ側から何もアプローチせずとも自らリピートいただける顧客もいれば、何をしてもリピートをされないお客様もいます。
CRMの実施によって大きく影響を受けるのはこの中間に位置する顧客で、この顧客に効果的にアプローチすることで休眠顧客の積み上がりが鈍化します。
リピート率100%でない限りは休眠顧客をゼロにすることはできませんので、どこまで休眠顧客の増加を鈍化させられるかがポイントとなります。
この休眠の定義はサイトによって異なります。例えばあるサイトでは平均リードタイム(購入間隔)が3ヶ月だとしたらそこから大きくずれた時期、例えば半年で休眠として扱いますが、
平均リードタイムが12ヶ月であれば12ヶ月が経過していても休眠としては扱いません。
なのでまずは自社の顧客のリードタイムがどれくらいなのかを把握する必要があります。
そのうえで経過日数ごとに再購入率を出すとある一定の期間を過ぎるとリピート率が極端に下がることが分かるはずです。休眠してしまってから再購入していただくのは非常に難易度があがりますので、必ず休眠する前の時期を特定して休眠対策を始めてください。
さらに細かく対策しようとするとこの分析を「初回購入者」「2回目購入者」などと回数別に行うことでよりピンポイントの施策ができるのでより効果的ですが、成果の大きさに比べて手間がかかり過ぎては費用対効果があいませんので、自社の顧客数の規模にあわせた取り組みを見極めることが深みにハマらないために重要です。
施策のターゲットとなる顧客数と、施策によりリピートする顧客数を試算することで、どこまで対応すべきか判断しましょう。
休眠対策に効果的な施策とは?
これは顧客が休眠した理由により効果的な対策も変わります。
しかしながら、どの顧客がどんな理由で休眠になるかは正確に把握することは出来ないため、アンケートなどの調査結果から割合として多く見られる理由から順にひととおり対策していくことをおすすめします。
代表的な休眠理由とそれに対する対策は以下の通りです。
こういった施策は手間に感じるかもしれませんがCRMツールによって施策を自動化することで可能となります。
①特に大きな理由はなくリピートしない顧客
これは過去の調査で明らかになっているのですが、一度購入したことがあるECサイトでリピートしない理由として最も多く回答されたのは意外なことに「特に大きな理由はない」です。
こういった顧客はきっかけさえあればリピートにつながります。担当者によっては嫌がる方もいますが、事実として最も効果的なのはクーポンや期間限定の値引き、ポイント付与、おまけ、送料無料などインセンティブ訴求です。出来るだけ対象者や期間の限定感を出すことで効果を最大化できます。
あまり値引きイメージを出したくない場合は最低限の金額でも実施するだけで大きな効果を上げることができます。同じインセンティブばかりでは効果が落ちてきますので、毎回様々な内容で変化をつけて刺激に慣れさせないことが重要です。
どうしてもインセンティブを利用したくない、もしくは利用できない事情がある場合は限定商品や新商品訴求、新セット訴求など商品の見せ方を変えることで再購入を訴求してください。
②商品に対する理解不足によりリピートしない顧客
顧客が商品やサービスの価値を十分理解できずにリピートにつながっていない状態です。特に健康食品や化粧品などの単品リピート通販に多く、対策としては顧客に対し商品やブランドのベネフィットをあらためて伝えることです。例えば「長期継続している顧客の声」は商品を利用してハッピーな状態が伝わり、自分がそうなっている状態を想起させられるので最も効果的です。商品開発の想いやこだわりなども重要ですが、それよりもいかに顧客に「想像させるか」がリピートにつながります。顧客のよい口コミはどんなキャッチコピーよりも効果的なので、ある程度の費用を掛けてでも集めるようにしてください。例えば顧客の声をキャッチコピーとしてメールの件名に使うことは開封を増やすために非常に有効ですし、メール本文中でそれをクリッカブルにしてページに誘導することでクリック率は何倍にもなります。またインスタグラムなどのUGCも再購入につなげる重要なコンテンツとなります。
③販売形態がハードルになっている顧客
こちらも単品リピート通販に多いケースですが定期購入に抵抗がある人が存在します。可能であればそういった顧客には単品での再購入やまとめ買いでの割引をオファーすることで再購入につなげ、都度買いで一定のリピートをした段階で定期購入をオファーをすることで取りこぼしが無くなります。
④他ブランドへの乗り換えをした顧客
いわゆるブランドスイッチをした顧客です。こういった一度離れてしまった顧客を引き戻すことは非常にハードルが高いのですが、理由をしっかりと理解したうえで適切に対応することで再購入につながります。ブランドスイッチの理由は製品やサービスに不満があったり、金額の問題、企業イメージの問題など複数の理由が想定されますが、いずれにしても顧客の声を聞いたうえで時間をかけて信頼を得ていく正攻法でしか戻ってきていただく方法はありません。そのためアンケートを活用して回答内容に応じたメッセージ配信が有効です。
改善には精度とともに実行スピードが重要
代表的な休眠対策をご紹介してきましたが、「鉄は熱いうちに打て」というように適切なリピートタイミングから時間が過ぎれば過ぎるほど再購入いただくことは難しくなります。
また、購入後のコミュニケーション以前に購入体験そのもので感動させるレベルのサービスを提供することにこだわってください。それがリピートを最大化させることへの土台となります。
そして同時に今まで取りこぼして機会損失となっている顧客に最大限戻ってきていただけるよう精度の高いメッセージ配信を戦略的に実行してください。
重要なのはスピードです。顧客体験を改善しつつ精度の高いCRM施策をスピーディーに実行できなければ競争の激しいEC市場で勝ち残っていくことはできません。