来訪促進と見込みフォローがのECのCRM施策で最優先と言われるワケと鉄板シナリオ15選
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新規獲得だけでは限界が見えてきた、リピーター対策まで手が回っていない、そのような悩みを抱えているEC事業者は非常に多いと思います。私は毎月オンラインセミナーのアンケートでご参加いただいた方の声を聞いていますが、リピーター対策を進めるにあたって何から手をつけたらよいか分からないというお声が最も多いです。
そこで今回はリピーター対策で最も優先すべき施策についてお伝えします。
大前提としてデータ活用できるシステム環境は必須
EC市場の拡大にともなってお客様の受け取る情報量は飛躍的に増加しました。そして受け取る情報量は年々増加し続けています。このような状況の中でお客様にあわせた情報を最適なタイミングでお届けするには、手作業の運用では不可能です。つまりデータを活用した顧客の理解と施策実行、そしてそのレスポンスの計測、それをもとにした改善といった一連の流れを、費用対効果のあう形で推進できるシステム環境が大前提として必要になります。これ無しで満足度の高い顧客体験を創り出しLTVを向上させることはできません。
こういったシステム環境はある程度安定して新規顧客を獲得できる状態になっていれば、売上規模を問わず必要となります。せっかく集客に投資してもCRMに手が回っていない状況では穴の空いたバケツに水を一生懸命注ぐような状態になってしまいます。このような失敗をしているEC事業は驚くほど多いので、あらためてご自身の事業はどのような状況なのか見直してみてください。
来訪促進と見込みフォローが最優先と言われるワケ
CRMの取り組みでは顧客ロイヤルティの向上や、ファンの育成といったことが語られることが多いですが、目的はリピーター売上の最大化です。その目的を達成するためにはいくつもの取り組みを並行して行っていく必要があるのですが、どういった優先順位で考えていけばよいでしょうか。最も重要なのはすぐ実行できて成果の出る施策は早々に実施してしまうことです。
よくある失敗として、成果が出るまで時間がかかる取り組みを延々と準備しておきながら、途中で立ち消えとなってしまい結局スタート出来ない、スタートしてもやりっぱなしでその後どんな成果が出たか追えていない、そのようなケースが多いです。ECの担当者は複数の業務を兼任しているケースが大多数で、なかなか腰を据えてCRMの新規プロジェクトに取り組むことができないのが現状です。まずは目に見える成果を出してCRMをさらに推進できるように、来訪促進と見込みフォローは最優先で実行してください。なぜなら売上の方程式を考えると一目瞭然です。ECサイトの売上は、アクセス数×転換率×客単価で成り立っています。リピーター売上を増やすためには、一度買っていただいたお客様の来訪促進でアクセス数を増やし、買う直前で離脱してしまった見込み客をフォローすることで非常に高い確率で購入に至ってもらうことができるため転換率が改善します。客単価はコントロールが難しいので、まずは来訪促進と見込みフォローを優先することで非常に効果的かつ効率的にリピーター売上を増やすことができます。
来訪促進施策の例
リピーターの来訪促進に効果的な施策は業種によって違いはあるものの、ある程度共通して効果的な施策は存在しますのでいくつか例をご紹介します。
なお、顧客アンケートでリピート購入しない理由として最も多い回答は「特に大きな理由はない」です。こういった地道な取り組みの組み合わせが再来訪のきっかけとなりリピートにつながります。
1.関連商品:過去の購入商品に関連した商品を案内することで再来訪の促進になります。関連商品の判別は過去の購買データをもとに割り出します。
2.新商品発売:過去の購入商品と同一カテゴリーでの新商品の案内です。
3.ランキング:売れ筋ランキングは購入判断の参考になるため来訪促進の効果があります。たくさんのカテゴリーを扱う商品の場合は、顧客が興味を持つであろうカテゴリを自動判別してそのカテゴリのランキングを出すと効果的です。
4.誕生日:誕生日の顧客に対してお祝いメッセージとともにクーポンやポイントなどのインセンティブを紹介します。
5.ポイント明細:顧客の保有ポイントとともにレコメンドシステムで顧客別のおすすめの商品を紹介します。
6.ポイント有効期限:顧客のもつポイント有効期限が近づいたタイミングで顧客別に生成したおすすめ商品とともに通知すると効果的です。
7.再入荷:顧客が閲覧した商品が完売してしまった後や、完売商品を閲覧した顧客に対して再入荷のタイミングで通知する施策です。
8.残りわずか:直近に閲覧した商品の在庫数が残りわずかになったタイミングで通知する施策です。
9.期間限定セール/特典:これは王道ですが、顧客がメルマガを購読する理由として最も多い回答はこういったインセンティブです。不定期で案内することにより再来訪につながります。
10.季節提案/限定キャンペーン:季節の変化は消費者の行動が変わるタイミングです。季節にあわせた提案をすることで再来訪のきっかけとなります。
見込みフォロー施策の例
閲覧データや行動データの活用で購入しそうになった顧客を判別し、自動的にフォローする施策です。普段は気づかない機会損失を防ぐことで驚くほど大きな売上底上げ効果をもたらします。
1.カゴ落ち:カゴに商品を入れるという行動はもっとも見込み客の判別に役立ちます。過去に入れたにもかかわらず購入しなかった顧客に、なるべく早くアプローチすることで高い確率で購入につながります。
2.商品ページ閲覧:実は商品ページの閲覧も見込み度の把握に非常に重要な情報です。サイトに来訪してわざわざ商品を探して詳細ページを閲覧している顧客は見込み度の高い顧客です。閲覧ページ数や閲覧時間も把握することでさらに見込みの高い顧客を判別することができます。
3.お気に入り登録:お気に入りに登録するという行為はその商品が欲しいという意思表示ですから、こういった情報は見込み客の判別に役立ちます。忘れずにフォローしましょう。
4.再入荷通知の申込:完売商品の再入荷通知を申し込んでいる顧客に対し、再入荷のタイミングで自動通知する施策です。配信母数は少ないですが非常に効率的に購入を促進できます。
5.複数回訪問:短期間に何度もサイト来訪している顧客は非常に見込み度の高い顧客です。こういった顧客を自動的に検知してレコメンドを送信することで高い確率で購入を促進できます。
まずはアクション!実現に向けて行動するかしないかが勝負の分かれ道
上記に挙げたような施策は言葉で説明するのは簡単ですが、実現するためにどういったデータをどう取得して、どう活用するか、どんなタイミングでどんなコンテンツをどう生成して配信するかなど考えるべきことはたくさんあります。ほぼ100%に近い方がこの段階でつまずいてしまい実行に移すことができません。
しかしこういった施策の実行できるかできないかによって、リピーターの獲得に大きな差が出てしまうことも事実です。そしてそれは事業規模の差にダイレクトに影響するため、ビジネスにとって死活問題になります。多くのお客様から支持されているAmazonなどのプラットフォームではあたりまえのように実現できていて、お客様にとってもこのようなショップからのコミュニケーションは当たり前になりつつあります。あなたの自社サイトはどうでしょうか?この現実から目をそらすか、しっかりと受け止めたうえで、どうすれば実現できるのかという視点でアクションするのか、EC事業者は迅速に考えて判断しアクションをとることが求められています。