カゴ落ちメールとは?導入方法と効果を出すために重要な6つのポイント
- Chapter
- そもそもECサイトでのカゴ落ちとは
- なぜECサイトでカゴ落ちが起きるのか
- カゴ落ちメールとはどんな施策なのか
- なぜメールでのアプローチが重要なのか
- カゴ落ちメールを導入する方法とそれぞれのメリット・デメリット
- 1.カゴ落ちメール配信に特化したツールを導入する
- 2.CRM / MAツールを導入する
- カゴ落ちメールで成果を出すために注意すべきこと
- 1.配信母数を増やす
- 2.リアルタイムで配信する
- 3.HTMLメールで配信する
- 4.セカンドプッシュをする
- 5.直近の購入者は除外する
- 6.連続配信されないようにする
- カゴ落ちメールに設定するリンク先はどうすべきか
- 1.カートTOPへ飛ばす
- 2.商品詳細ページへ飛ばす
- 3.マイページへ飛ばす
- カゴ落ちメール施策の業種別成功事例
- 事例1 ワイン専門EC
- 事例2 海産物EC
- 事例3 ファッションEC
- 事例4 健康食品の単品リピートEC
- まとめ
ECサイトのCVRを向上させ売上を増やすためには、様々な改善ポイントが存在しますが、
中でも以前からEC事業者を悩ませているのが「カゴ落ち問題」です。
この記事ではECのCVR向上施策として「カゴ落ち問題」を解決するために
注目されている「カゴ落ちメール」についてお伝えします。
そもそもECサイトでのカゴ落ちとは
ECサイトに訪問し、購入するつもりで商品をカートに投入したが、
何らかの理由で購入手続きをやめてしまう行動をカゴ落ちと呼びます。
とある調査ではECサイトの平均カゴ落ち率は69.57%※と言われており
どんな業種でも大体7割前後は発生している状況です。
※2019年baymard.com/researchによる米国での調査
なぜECサイトでカゴ落ちが起きるのか
カゴ落ちするユーザーは主に3パターンに分類されます。
購入するつもりだったが、
1.何らかの問題があり中断した。
2.なんとなく中断し、忘れている。
3.何らかの理由で買う気が無くなった。
もっとも多いのは2のユーザーで、再度プッシュして購入のきっかけを与えることで購入につながります。
ある調査によるとカゴ落ちが発生する理由として以下の理由があげられています。
送料や手数料など追加コストが高い(53%)
会員登録が必須だった(31%)
購入手続きが複雑で面倒(23%)
支払い総額が分かりにくい(20%)
カード情報を入力したくない(17%)
商品到着が遅い(16%)
購入手続き中にエラーが出た(15%)
返品条件に問題がある 10%
希望する決済方法がなかった(6%)
クレジットカードエラー(4%)
有効回答数4,263人 2019年baymard.com/researchによる米国での調査
カゴ落ちメールとはどんな施策なのか
ECサイトでカゴ落ちした既存顧客に対し、カゴ落ちした商品を挿入したメールを自動的に送信する施策です。
上記の通り、ふとしたキッカケでカゴ落ちする顧客も一定数存在しますので、
そこにプッシュ通知を送ることで非常に高い確率で購入につなげることができます。
配信できるのはメールアドレスが分かっている顧客というのが条件のため、
新規顧客に対しては広告など他の手法でアプローチする必要があります。
カゴ落ちメール配信までの流れを簡単にまとめると以下のようになります。
1.カゴ落ちしたユーザーを特定する
2.いつ、どんな商品でカゴ落ちしたかを特定する
3.カートからの削除や購入が行われた場合、配信ターゲットから除外する
4.メール本文にカゴ落ちした商品を自動差し込みする
なぜメールでのアプローチが重要なのか
購入直前で離脱したホットな顧客を購入につなげるには、プル型ではなく
狙ったターゲットに対しプッシュ型のアプローチをリアルタイムで行うことで
高い確率で購入へつなげることができます。
カゴ落ちメールの場合、配信母数が多いうえに平均して50%以上の開封率が出ます。
最近ではLINEやDMなど、メール以外の手法でカゴ落ちをフォローする施策も出てきましたが、
紐付けされる機会が少ないため配信母数が少なくなりがちで売上インパクトも小さいので、
現状はメールの補助的な役割として活用しているECサイトが増えています。
カゴ落ちメールを導入する方法とそれぞれのメリット・デメリット
カゴ落ちメールを実現するには大きく分けて2つの方法があり、それぞれメリットとデメリットがありますので、
自社の状況にあわせたシステムを選ぶ必要があります。
1.カゴ落ちメール配信に特化したツールを導入する
カゴ落ちメールに特化したツールを入れるメリットは導入費用が安いことです。
一方でデメリットは配信母数が少なくインパクトが小さいことがあげられます。
専用ツールの場合、カゴ落ちした顧客が既存会員の誰だったのかを紐づけるきっかけが減るためです。
気軽に導入できる分、インパクトも小さいので小規模なECサイトに向いています。
2.CRM / MAツールを導入する
CRM/MAツールの施策の一環としてカゴ落ちメールを配信するメリットは
配信母数が増えインパクトが大きくなることです。
全配信メルマガをクリックした際に顧客を紐付けたり、来訪時にはログインしていなくても
過去にログインしたことがある顧客を紐づけることで配信母数と売上インパクトを最大化することができます。
一方でデメリットは導入に一定の費用と工数がかかることです。
ツール費用が大きくなりがちなので、導入したCRM / MAツール費用対効果を合わせるには
カゴ落ちメール以外の施策にも活用する必要があります。
カゴ落ちメールで成果を出すために注意すべきこと
1.配信母数を増やす
配信母数が少ないと、いくら効率が高い配信でも売上インパクトを出せません。
配信母数が少なくなる原因は、ユーザーの紐付けができていないことです。
メールのクリックやマイページへのログインなど、可能な限り多くのポイントで
ユーザーの紐付けを行う必要があります。
2.リアルタイムで配信する
カゴ落ちしてから時間が経過するにつれて、CVRは大きく減少します。
ある調査ではカゴ落ち当日と翌日ではCVRが1/2になるとの調査結果が出ました。
3.HTMLメールで配信する
忙しい人、いろいろなショップから多くのメッセージを受け取る人が増えているので
ビジュアルで訴求して注意を引きつけることが重要になっています。
また、カゴ落ちしたことを伝えるだけでなく、実際にカゴ落ちした商品を画像で見せる必要があります。
カゴ落ちメールをHTMLで配信した場合とテキストで配信した場合では売上が2倍以上変わる
という調査結果も出ています。
4.セカンドプッシュをする
一通目のカゴ落ちメールを開封しない人、クリックしない人、購入しない人に対して
二通目のカゴ落ちメールを送ることで、一通目とほぼ同等の売上が出ます。
セカンドプッシュをすることでカゴ落ちメール施策の売上を2倍にすることができます。
反応のないカゴ落ちユーザーに対してセカンドプッシュすることをお勧めします。
5.直近の購入者は除外する
直近すでに購入している人に対してカゴ落ちメールを送っても嫌がられるだけで
購入にはつながりませんので、ターゲットから除外するように注意しましょう。
6.連続配信されないようにする
購入を迷っているときは何度もいろいろな商品をカゴに入れてみる顧客も存在します。
そういった場合にその都度リマインドが飛んでしまうと顧客から嫌がられるので、
連続してカゴ落ちメールが飛ばないように配信頻度を制御しましょう。
カゴ落ちメールに設定するリンク先はどうすべきか
カゴ落ちメールに挿入された商品をクリックした際にどこへリンクさせるかは、
主に3パターンがあります。カートの仕様によっては設定できないリンク先もあるので
カートの仕様に応じた設定が必要です。
1.カートTOPへ飛ばす
最もCVRが高いのが、すでに商品が入っている状態のカートTOPに飛ばすことです。
カートの仕様によっては出来ない場合があるので注意が必要です。
2.商品詳細ページへ飛ばす
カートTOPへ飛ばすことが出来ない場合は商品詳細ページへ飛ばすことで効率よく購入につなげることができます。
3.マイページへ飛ばす
マイページにカート投入した商品の履歴が残っている場合は、
商品ページではなくマイページに飛ばすことも1つの方法です。
ただし再度ログインが必要になってしまうと離脱の原因になるので注意が必要です。
カゴ落ちメール施策の業種別成功事例
主に総合通販など、商品数が多岐にわたり趣味嗜好で購入する業種で高い効果があがる傾向ですが、
単品リピート通販でも一度購入した顧客が再度ECサイトに来訪する傾向がある場合は
同様に高い効果をあげています。
事例1 ワイン専門EC
・サイト全体売上の10%がカゴ落ちメール経由
・開封率52.1% クリック率12.5% CVR10.3%
事例2 海産物EC
・サイト全体売上の8.8%がカゴ落ちメール経由
・開封率49.3% クリック率9.5% CVR10.0%
事例3 ファッションEC
・サイト全体売上の11.2%がカゴ落ちメール経由
・開封率51.7% クリック率10.3% CVR8.9%
事例4 健康食品の単品リピートEC
・サイト全体売上の5.2%がカゴ落ちメール経由
・開封率38.9% クリック率8.7% CVR13.4%
まとめ
カゴ落ちした顧客に対してメールを自動送信することで驚くほど購入につながります。
しかし、売上インパクトを出す形でうまくカゴ落ちメールを実装するには、
ターゲット抽出、配信タイミング、コンテンツ挿入、チャネル選択などにおいて
細かいノウハウが必須となります。
カゴ落ちメールの施策を成功させるには、システムを導入するだけではなく、
そういったノウハウもセットで考え、実装をして初めて成果につながりますので
今回の記事をぜひ参考にしていただけたらと思います。