EC向けのCRMツール導入に必要な費用の考え方
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今回の記事ではECのCRMの取り組みに欠かせない「CRMツール」の導入に必要な費用の考え方についてお伝えします。
経済産業省が発表したデータ(平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 電子商取引に関する市場調査)によると
2018年のBtoC-ECの市場規模は、17 兆 9,845 億円(前年比 8.96%増)に、物販系の市場規模に絞ってみても9兆2,992億円(EC化率6.22%)まで成長しています。そしてEコマース市場が拡大するにつれてECサイト数も爆発的に増えています。
その結果として広告での新規顧客の獲得単価(CPA)が高騰し、費用対効果を合わせることが難しくなりつつあります。
ご存知のとおり、EC事業を成長拡大させるためには「初回購入者の獲得」と「リピーターの獲得」の両方が重要です。
そこでCPAが高騰している今、注目されているのがCRMです。
なぜならば、新規顧客を獲得するコストに比べて既存顧客の売上を上げる方がコストが低く効率的だからです。
従って、広告費用対効果をあわせるには、CRMによってリピーターを増やし、LTV(顧客生涯価値)を上げる取り組みが必須となっています。
CRM導入の流れ
CRMツールは導入するだけでは何も出来ません。どんなターゲットにどんなタイミングで、どんなメッセージを
どんな手法で配信したいのかをプランニングし、ツールに設定を行うことで実装する必要があります。
施策の実行に必要なデータがCRMツール側に無い場合はあらたに連携したり、CRMツール側で計算し生成するなどして対応します。
現在EC事業者でCRMが上手く稼働していないケースとしてこの実装作業に非常に時間がかかるケースが多く見られます。
具体的にはCRMツール導入が決定してから実装迄に半年間ほどお時間がかかったという話はよく聞きます。
その間にも自社を取り巻く競争環境は変化しておりますので、実装作業は早ければ早いに越したことはありません。
また、施策の実装後は配信結果がどのようになっているのかを把握し、適切なチューニングを行う必要があります。
これらには膨大なノウハウと手間が必要となります。CRMがうまくいっている企業では経験豊富な
CRMコンサルタントを入れて1年程度のプロジェクトとして、実装やチューニングを行っているケースが大半です。
ただし、それなりの費用がかかるため、費用対効果をあわせるためには一定の売上規模が必要です。
CRM導入に必要な費用
導入前プランニング費用
現状のどのような課題を解決するためにCRMを行うのか目的設定、どんなデータを使ってどのようなターゲットにどんな施策をいつどのように配信するかをプランニングする費用 ※依頼内容によって変動
データ環境調査費用
現状カートや基幹システムに保持しているデータにどんなものがあるか、テーブルとカラムについて調査し
CRMツールへ連携するデータ/しないデータの精査と連携方法について定義を行う費用 ※依頼内容によって変動
ツール導入初期費用
CRMツールの導入(カートシステムや基幹システムとのデータ連携)に必要な費用
※連携するデータのボリューム、連携元の数や連携手法によって変動
ツール月額費用
CRMツールのランニング費用(オプション費用も含む)
※一般的には会員データ数やメール配信数によって変動
クリエイティブ制作費用
HTMLメール/テキストメール、LINE原稿などのクリエイティブ制作 ※依頼内容によって変動
施策実装費用
ターゲット設定、クリエイティブ入稿、配信条件の設定など ※ボリュームによって変動
運用準備費用
タグ設置費用、運用フロー整備、オペレータートレーニングなど ※ボリュームによって変動
運用費用
PDCA運用、コンテンツ企画、制作など ※依頼内容とボリュームによって変動
CRMの費用対効果の考え方
目的・費用・成果の3点を考えて導入を判断します。
どんな目的でCRMツールを導入するのか
CRMツールを導入するうえでまずは目的設定が重要です。現状のどのような課題をどのような手段で解決するのか、それによってどんな指標をどう改善したいのかなど、具体的に考える必要があります。
もしくはCRMに関してLTVやリピート率といった基本的な指標の現状把握すら出来ていなかったり、顧客とのコミュニケーションに明らかな課題がようなある場合は、その状態を解決するために導入し、運用する中で具体的なKPIを設定していくことも1つの方法です。
導入と運用も含め初年度に必要なコストはどの程度か
CRMは短期的に成果を出すためだけの取り組みではありません。そのためCRMプロジェクトを成功させるためには、ツールは導入して終わりではなく、その後の運用フェーズも非常に重要となります。
導入費用だけでなく、その後の運用費用もふくめた初年度のコストを把握したうえで費用対効果を考える必要があります。
期待される成果は何なのか
現状の課題がはっきりしている場合は期待する成果を試算しやすくなります。
例えばLTVやリピート率といった指標です。現状がどのくらいでそれをどんな施策でどのくらい向上させるのか、
それによってどの程度の売上や利益が増えるのか、それに対してどの程度の費用がかかるのか、をトータルに考えて判断する必要があります。