単品リピート通販のLTV最大化に必須!効果的なステップメールの作り方
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健康食品や化粧品など、いわゆる定期購入を主軸とした単品リピート通販において、LTV最大化は事業拡大するために必須のテーマと言われています。
今回の記事では主に単品リピート通販のLTV最大化に効果的と言われているステップメールの作り方について基本的な考え方と具体例をご紹介します。
そもそもステップメールとは?
ステップメールとは一般的に、通販ECにおいて購入後に一定の期間ごとに自動配信されるメールによるメッセージ配信を指します。あらかじめ決められたタイミングで自動配信することで、顧客の状況にあわせたメッセージ配信が可能となり、リピート購入やブランドロイヤルティの向上を期待できます。
配信の起点となるのは「注文日」や「出荷日」が利用されるケースが多く、例えば健康食品の場合では、購入3日後に「商品は届きましたか?」購入4日後には「もう飲み始めましたか?」購入7日後には「飲み続けられていますか?」などと段階的にメッセージ配信を行うことで、製品の利用継続、習慣化を促すことができます。
実際にどんなタイミングでどんなメッセージ配信を行うかは、扱っている商材の種類やターゲット層、販売方法(初回から定期で販売するか、もしくは初回お試しで定期に引き上げるか)や商品の内容量(7日間分などのお試しか1ヶ月分かなど)によって変わってきます。
効果的なステップメールの考え方
LTVを増やすために効果的なステップメールとは、お客様の状況、心理状態にあわせた適切なメッセージをタイミングよく配信することが必須になります。
つまりCRMでいう「ターゲット」「タイミング」「コンテンツ」「チャネル」を最適化するという考え方が重要になります。これによって効果的なシナリオ(ステップメール)を作ることができます。
1.ゴールを決める
そのステップメールが目的とする計測可能なゴールを決めます。
計測可能というところがポイントで、例えば現状25%のF2リピート率を30%にする、などと具体的な数値を設定することでそのステップメールの成果や、最適化のために修正した際の変化を知ることができます。顧客満足度を上げる、などでは成果が曖昧になってしまいステップメール実装後の最適化もされず実装しっぱなしになってしまいますので注意が必要です。顧客満足度をあげるのであれば、購入何日後の顧客アンケートで満足度いくつからいくつに上げる、といった具体的な数値設定が必要です。
2.ゴールにたどり着くまでのステップを決める
例えば目的を「定期引き上げ率30%」と設定した場合、初回購入から定期引き上げまで階段のように段階的なステップを考えます。
健康食品を例に考えると、まずは飲み始めてもらい、飲み続けてもらい、習慣化してもらって定期購入に引き上げる、という段階が必要になります。
よくある失敗としてはお試し購入をしたお客様に対し、まだ飲み始めてもいないのに定期割引の訴求を頻繁に行ったり、別の商品を勧めることです。
まずは飲み始めてもらうために障害となる要素を取り払うメッセージや、飲み続けることに失敗する要素を取り払うメッセージを配信し、習慣化を目指しましょう。
3.各ステップでの顧客の心理状態・態度変容に必要なメッセージを考える
出荷から何日後に、顧客はどんなことを考えているだろうかと想像してメッセージ設計をすることが重要です。
例えば上記の健康食品の例でいうと、出荷から3日後、商品が届いているのにまだ箱を開けていない、飲み始めていないとなると習慣化までの道は遠のいてしまいますので、お客様が考えていること、感じていることを想像します。
飲み始めることを阻害する要素としては「商品は届いたけどまだ箱を開けていない」「いつ飲んだらよいか分からない」「どれだけ飲んだらよいか分からない」「そもそも買ったときの熱が冷めてしまった」などが考えられますので、これらをクリアするメッセージを盛り込みます。定期継続している人の喜びの声やLPで訴求されているセールスポイントは顧客を動かすのに効果的なコンテンツになります。
4.メッセージ効果的なクリエイティブを考える
テキストメールであれば文章を考えればよいのでクリエイティブの制作は不要ですが、HTMLメールの方が目に止まって行動に起こしやすい(私信風にあえてテキストメールを部分的につかうという作戦もありますが)のでその場合はメッセージを伝えるためにどんなデザインがよいのかを検討します。
重要なのはあまり情報量の多いゴテゴテしたものにするのではなく、伝えるべきメッセージが明確に伝わるような「尖ったクリエイティブ」でなければ顧客の心には刺さりません。
お客様は日々さまざまなメッセージを大量に受け取っているので、ひと目見て0.5秒で、一瞬で伝わる工夫が必要です。例えば件名に「飲み忘れを防ぐ方法をお伝えします」「続けているお客様の嬉しいお声」など最も伝えたいメッセージを入れる、メールのファーストビューに重要なキーワードを最も大きな文字で入れる、メインメッセージとその他のメッセージの配置や量、大きさのバランスを工夫する、メインメッセージを伝えるのに最適な色やテイストで作るなどです。
効果の出ない大半のステップメールは「1メール1メッセージの原則」が守られずあれもこれも伝えようとして結局何も伝わらず失敗しています。ワードチョイス、構成、デザインなど全てのあらゆる要素を1つのメッセージを伝えるためだけに磨き込むことが必要です。
実際にLTVを向上させたステップメールの成功事例
1.タイミングの最適化
ステップメールの配信タイミングを1週間後、2週間後などと適当に感覚値で決められるケースが多いですが、実際にお客様が引き上がりやすいタイミングをデータで見て決めることが必要です。
例えば初回お試し商品を買ってから定期を購入された方の日数別に人数を出すと、最も盛り上がる中央値が出ますので、その前後に定期引き上げのメッセージを配信し、それより以前は商品を利用しはじめ利用し続けるための啓蒙や習慣化のメッセージを配信するなどの工夫が必要です。
2.シナリオの分岐
あらかじめ設計したシナリオどおり動くお客様ばかりでなく、なかなか意図した行動をとっていただけないようなお客様も存在しますので、そのようなお客様でもゴールに導けるようなシナリオ設計が必要です。
例えば初回お試し購入後に定期ではなく単品を購入されるお客様の場合、まだ定期購入でずっと継続できるか心配されていたり、まだ商品への信頼が十分でないケースが想定されます。この状態で何度もしつこく定期をお勧めしてもお客様は動きませんので、訴求を切り替えて単品の割引オファーをするなどのアクションが考えられます。
今までお試しで終わってしまっていたお客様を、単品買いではありますが一定数リピートしていただくことができますので、定期引き上げへのチャンスにつなげることができます。
お客様の状況を想像してシナリオを分岐しきめ細かくフォローしていくことで定期引き上げ率を最大化しLTVを向上させることができます。
3.ループシナリオ
決められたステップメールだけでは一定のステップを配信した後に顧客がアクションしなければそこでフォローは終わってしまい、顧客から忘れ去られてしまいますが、メッセージ配信が止まらないように自動化していくことで引き上げを最大化できます。
例えばステップメールを全て配信後に、一定の期間ごとに休眠顧客向けの限定オファーや割引クーポンを配信するなどの施策です。
リピートしない理由の8割が「忘れる」ことという調査結果もあるように、メッセージ配信が終わってしまうとリピートのきっかけも消えてしまいます。
一方で反応しないお客様にずっとアプローチし続けるのも手間になってしまうので、こういった自動化が必要になります。
4.複数チャネルの活用
今回はステップメールのご紹介ではありますが、メール以外のチャネルを活用した引き上げ施策も重要です。なぜならお客様の中にはメール購読を初めから拒否される方もいますし、普段あまりメールを見ないという方もいます。そのような方のためにメール以外のチャネルの活用が必要です。
ある調査によるとEC通販でリピートしたお客様へのアンケートで、最も影響したチャネルはEメールの次に「ダイレクトメール(郵送)」や「LINE」が上がってきています。
これらのチャネルも適切に組み合わせた引き上げ施策が必要になります。
例えば一定期間ステップメールを配信しても開封やクリックの履歴が見られない顧客に対しては郵送のダイレクトメールを送付したりLINEを登録されていればLINEでメッセージ配信がされるよう自動化する、などの取り組みが効果的です。
なお、これらの複数チャネルの活用は、まずはメールで効果的なシナリオを構築したうえで実行していかないと収集がつかなくなるばかりか最適化を進めることが困難になりますので、まずは基本としてメールでしっかりと引き上げ率を最大化できるシナリオを構築してから段階的に進めていくことが重要です。
LTVを増やすのに効果的なステップメール以外のアプローチ方法
1.ダイレクトメール
配信許諾のとり方にもよりますが、初回購入時にメール購読をするお客様は5割程度と言われています。つまり残りの5割はステップメールを届けることができませんので、そこを補間するのに郵送のダイレクトメールが有効です。郵送すれば必ず顧客の目に触れますので、メッセージを伝えるチャンスが生まれます。またスマホやPCの画面内でなく実際に手に触れられる紙媒体を送れるということはメールと比較した際の強みになります。
2.LINEステップ配信
コミュニケーションツールとして中心になっているLINEでステップメッセージを配信することは開封率という面でとても有効です。ただしLINE登録をしてもらえる母数がどうしてもメールと比較して少なくなることや、配信できるメッセージ量がメールやダイレクトメールと比較すると短文になってしまったり画像の枚数も少ないという点は弱みになります。少ないメッセージ量で的確に伝える配信が重要になってきます。
ターゲット層が若く、登録数も一定数を確保できる場合はメールと同様に強い飛び道具となっているショップが見受けられるのがLINEの特徴です。
3.SMS配信
メールと同様に初回購入時に必ず登録が必要という意味で、配信母数を確保することができます。またメッセージの開封率も非常に高いというのも特徴です。
弱みとしてはLINE同様に配信できるメッセージ量が少ないという点や配信コスト面です。
海外ではSMSは日本でいうLINEのように日々のコミュニケーションツールの中心となっているため、成功事例は多いですが、国内ではまだ未払い料金の督促や配送通知など必ず届けるべきメッセージの配信のみに留まっておりセールスで成功した事例はほとんど聞かれません。
まとめ
単品リピート通販のLTV向上を目指すうえでステップメールは欠かせない施策ですが、まだまだしっかりと腰を据えて取り組めている企業は少ないようです。
最初に担当者に任せて実装したシナリオがそのままになっていたり、何も配信できていないという企業も見受けられます。
ECサイトのデザインや、一斉配信メルマガのように表からはなかなか見えづらい施策ではありますが、購入後の顧客に直接届けられるメッセージとして顧客目線で最も注目度も高く、事業のスケールに大きく貢献する部分なので、ぜひこの機会に自社のステップメールはどのような状態か、改善できる余地はないかなど考えてみるきっかけにしていただければと思います。