配信解除率に振り回されないメルマガ運用の考え方

メルマガを配信した後、多くの担当者が気にする指標のひとつに「配信解除率」があります。

配信解除数が増えると、「今回の内容が悪かったのではないか」「配信頻度が多すぎたのではないか」「お客様に嫌がられているのではないか」と不安になることもあるでしょう。

もちろん、配信解除率を見ること自体は重要です。解除が急増している場合、配信内容・頻度・対象者・タイミングのどこかに問題がある可能性があります。

しかし、配信解除率を気にしすぎると、メルマガ運用の本質を見失ってしまうことがあります。

メルマガの目的は、解除されないことではありません。顧客との関係を深め、再購入や継続購入につなげ、売上やLTVを向上させることです。

そのため、配信解除率は重要な指標ではあるものの、それだけを見て配信内容や頻度を判断するのは危険です。本記事では、配信解除率に振り回されず、ECのCRM施策として成果につながるメルマガ運用を行うための考え方を解説します。

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メルマガの配信解除は必ずしも「悪」ではない

まず前提として、メルマガの配信解除は必ずしも悪いことではありません。

配信解除は、顧客が「今はこの情報を受け取りたくない」と意思表示をしている状態です。興味がない顧客に送り続けるよりも、関心のある顧客に適切な情報を届ける方が、メルマガ運用としては健全です。

たとえば、すでにブランドへの関心が薄れている顧客や、商品カテゴリに興味がなくなった顧客に配信を続けても、開封やクリック、購入につながる可能性は低くなります。むしろ、そのような顧客に無理に配信し続けることで、ブランドへの印象を悪化させてしまう可能性もあります。

一方で、解除する顧客が一定数いるとしても、残った顧客の反応が高く、売上やリピート購入につながっているのであれば、その配信は必ずしも失敗とは言えません。

重要なのは、解除が発生したこと自体ではなく、どの配信で解除が増えたのか、どの顧客層で解除が多かったのか、解除率の上昇に対して売上やCVはどうだったのか、解除が一時的なものか継続的な傾向なのかを確認することです。

配信解除は「悪」ではなく、顧客の反応のひとつです。過度に恐れるのではなく、顧客とのズレを把握するためのサインとして活用することが大切です。

配信解除率ばかりを見ると起きる問題

配信解除率を重視しすぎると、メルマガ運用が消極的になりがちです。

たとえば、解除率が少し上がっただけで配信頻度を大きく減らしたり、訴求の強いキャンペーンを避けたり、誰にも嫌われない無難な内容ばかりを配信したりするケースがあります。

一見すると、解除率を下げるための正しい対応に見えるかもしれません。しかし、それによって開封数・クリック数・購入数・売上が下がってしまえば、本末転倒です。

メルマガは、顧客との接点をつくるための重要なチャネルです。特にECでは、一度購入した顧客に再購入を促したり、休眠顧客を掘り起こしたり、セールや新商品情報を届けたりするうえで、メールは今でも有効な手段です。

にもかかわらず、配信解除を恐れるあまり配信量を減らしすぎると、売上機会そのものを失ってしまいます。

また、配信解除率だけを見ていると、「嫌われないこと」が目的になってしまう危険があります。

本来の目的は、顧客に価値ある情報を届け、購買行動やブランド理解につなげることです。しかし解除率を下げることばかりを意識すると、訴求が弱くなり、顧客の行動を促せないメルマガになってしまいます。

解除率の低い配信が、必ずしも良い配信とは限りません。解除率が低くても、開封されず、クリックされず、売上にもつながっていないのであれば、CRM施策としての成果は限定的です。

逆に、解除率が多少高くても、購入意欲の高い顧客にしっかり届き、売上やリピートにつながっているのであれば、改善余地はありつつも価値のある配信と判断できます。

本当に見るべき指標は解除率だけではない

メルマガ運用では、配信解除率だけでなく複数の指標を組み合わせて判断する必要があります。

代表的な指標には、開封率、クリック率、CV率、配信経由売上、1通あたり売上、購入者数、リピート率、休眠復帰率、LTV、配信解除率などがあります。

この中で、配信解除率は「顧客が離脱したかどうか」を見る指標です。一方で、開封率やクリック率は「顧客が反応したか」を示し、CV率や売上は「事業成果につながったか」を示します。

つまり、解除率だけを見ても、その配信が良かったのか悪かったのかは判断できません。

たとえば、解除率が低いものの、開封率もクリック率も低く、売上もほとんど発生していない配信があったとします。一方で、解除率がやや高いものの、クリック率やCV率が高く、売上にも大きく貢献している配信もあります。

この場合、解除率だけを見れば前者の方が良く見えるかもしれません。しかし、CRM施策として成果を出しているのは後者です。

もちろん、解除率が高い原因を確認し、改善することは必要です。ただし、解除率が高いからといって、即座にその配信をやめるべきとは限りません。

見るべきなのは、解除率単体ではなく、解除率と成果指標のバランスです。

メルマガ運用では、「解除されなかったか」ではなく、「誰に届き、誰が反応し、どれだけ成果につながったか」を見ることが重要です。

解除率は「成果指標」ではなく「警告指標」として見る

配信解除率は、メルマガの成功・失敗を決める主指標ではありません。どちらかといえば、異常を検知するための警告指標として見るべきです。

たとえば、通常は一定の範囲で推移していた解除率が、特定の配信だけ急に大きく上がった場合は、何らかの問題がある可能性があります。

その場合は、件名が強すぎなかったか、本文内容と件名にズレがなかったか、配信対象が広すぎなかったか、同じ顧客に短期間で何度も配信していなかったか、顧客の購入状況に合わない内容ではなかったか、セール訴求ばかりになっていなかったかを確認します。

このように、解除率は「この配信は失敗だった」と決めつけるための指標ではなく、「どこかに顧客とのズレが発生していないか」を確認するための指標です。

通常範囲内で推移している解除率に対して、毎回過剰に反応する必要はありません。

むしろ大切なのは、平常時の解除率を把握しておき、異常値が出たときに原因を分析できる状態にしておくことです。

たとえば、月次や配信単位で解除率を管理しながら、急な上昇があった場合にだけ詳しく見る。あるいは、配信内容別・顧客セグメント別に解除率を確認し、特定のパターンで解除が増えていないかを見る。

このように運用すれば、解除率に振り回されるのではなく、改善のためのヒントとして活用できます。

配信解除が増える主な原因

配信解除が増える背景には、いくつかの典型的な原因があります。

まず多いのは、配信頻度が顧客の期待より多いケースです。

どれだけ内容が良くても、短期間に何度も配信されると、顧客は負担を感じます。特に、セール情報やキャンペーン情報が連続すると、「また売り込みか」と感じられやすくなります。

次に、内容が顧客の関心と合っていないケースです。

たとえば、過去に一度だけギフト目的で購入した顧客に、本人利用を前提とした商品案内を送り続けても、反応は得られにくいでしょう。すでに購入済みの商品を何度もおすすめしたり、興味のないカテゴリの情報ばかり送ったりすることも、解除の原因になります。

また、購入状況や検討段階に合わない配信も注意が必要です。

初回購入直後の顧客には、商品の使い方や関連商品の案内が有効かもしれません。一方で、長期間購入していない休眠顧客には、再購入のきっかけとなる特典や人気商品の紹介が有効な場合があります。

顧客の状態が違うにもかかわらず、全員に同じメルマガを送り続けると、一部の顧客にとっては関係のない情報になってしまいます。

さらに、セール訴求に偏りすぎることも解除につながります。

毎回「割引」「セール」「クーポン」ばかりでは、顧客は価格訴求に慣れてしまいます。ブランドや商品の価値が伝わらず、単なる販促メールとして受け取られてしまう可能性があります。

配信解除が増えたときは、単に頻度を下げるのではなく、「誰に対して、どのような内容を、どのタイミングで送ったのか」を確認することが重要です。

解除率を下げるより重要な「配信の最適化」

メルマガ運用で本当に重要なのは、解除率を下げることではなく、配信を最適化することです。

配信の最適化とは、単に配信頻度を減らすことではありません。顧客ごとに必要な情報を、適切なタイミングで届けることです。

そのためには、全員に同じ内容を送る一斉配信だけでなく、顧客の状態に応じたセグメント配信やシナリオ配信を活用する必要があります。

たとえば、初回購入者、2回目購入前の顧客、優良顧客、休眠顧客、特定カテゴリの購入者、閲覧はあるが購入していない顧客、クーポン利用経験のある顧客、セール時だけ反応する顧客などで、配信内容を切り分けることができます。

これらの顧客に対して、同じ内容を同じ頻度で送る必要はありません。

初回購入者には、商品の使い方やブランド理解を深める情報が有効です。優良顧客には、新商品や限定情報、先行案内が効果的かもしれません。休眠顧客には、再購入のきっかけとなる特典や人気商品の紹介が必要になるでしょう。

このように、顧客の状態に合わせて内容を出し分けることで、解除率を抑えながら成果を高めることができます。

重要なのは、「配信頻度を減らすか増やすか」という単純な話ではありません。

必要な人に、必要な内容を、必要なタイミングで届ける。この考え方に変えることが、メルマガ運用の本質的な改善につながります。

配信頻度は「少なければよい」わけではない

配信解除率を気にすると、真っ先に「配信頻度を減らそう」と考えがちです。

確かに、配信頻度を下げれば解除率は下がる可能性があります。しかし、それと同時に、売上機会や顧客接点も減ってしまいます。

特にECでは、顧客が自発的にサイトを訪問してくれるとは限りません。メールによって新商品やキャンペーンを知り、再購入のきっかけが生まれるケースも多くあります。

配信頻度を減らしすぎると、顧客との接点が薄くなり、ブランドを思い出してもらう機会も減ります。その結果、解除率は下がっても、売上やリピート率が下がってしまう可能性があります。

そのため、配信頻度は解除率だけで判断すべきではありません。

見るべきなのは、配信頻度を変えたときに、開封率、クリック率、CV率、売上、購入者数、リピート率、LTV、解除率がどう変化するかです。

たとえば、週1回から週2回に増やした結果、解除率は少し上がったものの、売上やリピート購入が大きく伸びたのであれば、必ずしも悪い判断とは言えません。

一方で、配信頻度を増やしてもクリックや売上が伸びず、解除率だけが上がっているのであれば、頻度や内容を見直す必要があります。

つまり、配信頻度は「多いか少ないか」ではなく、「顧客と成果に対して適切か」で判断するべきです。

また、すべての顧客に同じ頻度で配信する必要もありません。

反応が高い顧客には一定の接触頻度を保ち、反応が低い顧客には配信頻度を抑える。休眠顧客には通常メルマガではなく、復帰用のシナリオを用意する。このように、顧客ごとに頻度を調整する考え方が重要です。

配信解除を防ぐためにできる実務的な工夫

配信解除率に振り回される必要はありませんが、解除を減らすための工夫は必要です。

まず行うべきなのは、顧客セグメントごとに配信内容を分けることです。

購入者、未購入者、休眠顧客、優良顧客では、求めている情報が異なります。全員に同じ内容を送るのではなく、顧客の状態に応じて内容を変えることで、不要な配信を減らすことができます。

次に、セール情報だけでなく、価値提供型のコンテンツも組み込むことが重要です。

商品の使い方、選び方、比較情報、活用事例、レビュー、季節に合わせた提案など、顧客にとって役立つ情報を届けることで、メルマガの価値は高まります。

毎回売り込みばかりでは、顧客は疲れてしまいます。販売促進と情報提供のバランスを取ることが、長期的な関係構築につながります。

また、配信頻度の高い顧客を把握することも大切です。

一斉配信、ステップメール、キャンペーンメール、カゴ落ちメール、休眠掘り起こしメールなど、複数の施策が重なると、特定の顧客に短期間で多くのメールが届いてしまうことがあります。

担当者ごと、施策ごとに配信を管理していると、顧客から見た受信頻度が見えにくくなります。顧客単位でどれだけ接触しているかを確認し、必要に応じて配信制御を行うことが重要です。

さらに、反応のない顧客には別のシナリオを用意することも有効です。

長期間開封やクリックがない顧客に通常メルマガを送り続けても、成果につながりにくい場合があります。そのような顧客には、休眠掘り起こし用の配信や、頻度を抑えた配信に切り替えることを検討します。

また、メールだけに頼らず、LINEやSMSなど他チャネルとの役割分担を考えることも大切です。

メールは情報量の多い案内に向いています。一方で、LINEは気軽な接点づくりや即時性のある案内に向いています。SMSは重要度の高い通知や確実に届けたい案内で有効な場合があります。

チャネルごとの特性を踏まえ、顧客にとって負担の少ない形で接点を設計することが、解除率の抑制にもつながります。

ECメルマガでは「解除されない配信」より「成果につながる配信」を目指す

ECのメルマガ運用で目指すべきなのは、解除されない配信ではありません。成果につながる配信です。

もちろん、解除率が高すぎる配信は改善が必要です。顧客に不快感を与えていたり、ブランドへの信頼を損ねていたりする可能性があるためです。

しかし、解除率をゼロにすることを目指す必要はありません。

どれだけ丁寧に設計しても、一定数の解除は発生します。顧客のライフスタイルや興味関心は変化します。購入目的が一時的だった顧客もいれば、ブランドへの関心が薄れる顧客もいます。

そのような自然な離脱まで完全に防ぐことはできません。

むしろ、一部の解除を恐れて、反応してくれる顧客への訴求を弱めてしまう方が問題です。

メルマガは、顧客に行動してもらうためのチャネルです。新商品を知ってもらう。キャンペーンに参加してもらう。再購入してもらう。関連商品を検討してもらう。休眠状態から戻ってきてもらう。

そのためには、ときには明確な訴求や強いメッセージも必要です。

大切なのは、顧客にとって価値があり、事業成果にもつながる配信を行うことです。

解除率だけを見て配信を弱めるのではなく、売上・CV・リピート・LTVといった成果指標と合わせて判断する。そのうえで、顧客ごとに内容や頻度を最適化していく。

この考え方が、配信解除率に振り回されないメルマガ運用につながります。

まとめ:解除率に振り回されず、LTVを伸ばすメルマガ運用へ

配信解除率は、メルマガ運用において重要な指標です。解除率が急に上がった場合や、特定の配信・セグメントで高くなっている場合は、内容や頻度、対象者の見直しが必要です。

しかし、解除率だけを見てメルマガの良し悪しを判断するのは危険です。

メルマガの目的は、解除されないことではありません。顧客との接点をつくり、再購入や継続購入を促し、売上やLTVを高めることです。

そのためには、解除率を「成果指標」ではなく「警告指標」として捉えることが大切です。

通常範囲内の解除率に過度に反応するのではなく、異常値が出たときに原因を確認する。解除率単体ではなく、開封率・クリック率・CV率・売上・リピート率・LTVと合わせて判断する。

そして、すべての顧客に同じ内容を送るのではなく、購入履歴や行動履歴、顧客状態に応じて配信内容や頻度を最適化する。

これが、配信解除率に振り回されないメルマガ運用の基本です。

解除を恐れて配信を弱めるのではなく、顧客にとって価値のある情報を届ける。売上やLTVにつながる顧客接点を設計する。その結果として、不要な解除を減らしながら、CRM施策全体の成果を高めていく。

メルマガ運用では、解除率を下げることそのものを目的にするのではなく、顧客ごとに最適なコミュニケーションを行うことが重要です。

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執筆者情報

中村 隆嗣 中村 隆嗣

株式会社ファブリカコミュニケーションズ アクションリンクチーム 部長

2003年に北国からの贈り物へ入社。自社サイトの立ち上げから参画し月商3億円を超える成長まで導く。楽天/Yahoo!/Amazon/ぐるなびなど全店のマーケティング戦略責任者として各モールにおいて数々の賞を受賞。 2014年株式会社メディックスに入社し、年商2500億規模の大手製薬会社や外資系アパレルブランドなど、メーカー直販ECの事業コンサルティングを手がける。 コンサルティング先で多く見られたCRMの課題を解決すべく、2018年アクションリンクを立ち上げ、2023年ファブリカコミュニケーションズにジョイン。現在に至る。

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