顧客満足度(CS)とは?EC通販で重要な理由と高める方法をわかりやすく解説

顧客満足度(CS)とは、商品やサービスに対して顧客がどれだけ満足しているかを示す度合いです。
EC通販では、満足度が2回目以降の購入やレビューに直結し、リピート売上を大きく左右します。
本記事では顧客満足度の基本から指標と測り方、購買データの読み方、ECで満足度を高める具体的な方法までを解説します。

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顧客満足度(CS)とは何か

顧客満足度(CS)とは?

顧客満足度(CS)とは、顧客が商品やサービスを利用して感じた満足の度合いのことです。
CSは英語の「Customer Satisfaction」の頭文字をとった言葉です。
マーケティングの現場では、満足の度合いを数値で表した指標を指して使われることもあります。

なお、ビジネスの現場で「CS」と聞くと、カスタマーサクセスやカスタマーサポートを思い浮かべる方もいるかもしれません。
本記事で扱うCSは、あくまで顧客が感じる「満足」そのものです。

EC通販の場合、満足の対象は商品だけではありません。
サイトでの商品の探しやすさも、購入手続きのわかりやすさも評価の対象です。
配送のスピードや梱包の丁寧さ、商品が届いた後のフォローも含まれます。
つまり顧客満足度は、購入前から購入後までのすべての体験に対する「通信簿」のようなものです。

満足度は「事前の期待」と「実際の体験」の差で決まる

顧客満足度は、購入前に抱いていた期待と実際の体験の差によって決まります。
これはマーケティングの分野で「期待不一致モデル」と呼ばれる考え方です。
満足度を考えるうえで、もっとも基本となる枠組みといえます。

体験が期待を上回れば、顧客は満足します。
反対に期待を下回れば、商品自体が悪くなくても不満が残ります。

たとえば同じ「注文から3日後に届いた」という体験でも、受け止め方は変わります。
商品ページに「翌日お届け」と書いてあれば、顧客は遅いと感じるでしょう。
「1週間程度でお届け」と書いてあれば、早く届いたことに喜ぶはずです。

ここからわかるのは、満足度を上げる方法は体験の質を高めることだけではないという点です。
広告や商品ページで期待を必要以上に高めないことも、同じくらい大切です。
新規獲得を急ぐあまり表現を盛りすぎると、初回購入後の満足度を自ら下げることになります。

顧客ロイヤルティ・CXとの違い

顧客満足度とよく混同される言葉に、「顧客ロイヤルティ」と「CX」があります。

顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やブランドに抱く信頼や愛着のことです。
顧客満足度が「ある時点の体験」に対する評価であるのに対し、ロイヤルティは満足の積み重ねから生まれる継続的な関係を指します。
一度満足しただけでは、ロイヤルティは育ちません。
満足する体験が何度も続くことで、「次もこのお店で買おう」という気持ちが固まっていきます。

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、顧客が企業と接するすべての場面で得る体験そのものです。
CXが「原因」だとすれば、顧客満足度はその体験を顧客がどう評価したかという「結果」にあたります。

3つの関係を整理すると、良いCXが満足を生み、満足の積み重ねがロイヤルティを育てるという流れになります。
EC事業者が目指すべきゴールは、満足度の数値を上げること自体ではありません。
その先にあるリピート購入と、長く続く顧客との関係です。

EC通販で顧客満足度が重要な理由

なぜECでは顧客満足度がリピート売上を左右するのか?

ECで顧客満足度がリピート売上を左右するのは、ECの購入体験が「買った後」の印象で評価されやすいからです。

実店舗なら、顧客は商品を手に取ってから買うかどうかを決められます。
一方ECでは、顧客は商品を見ないまま代金を払います。
そのため「届いた商品は期待どおりだったか」「困ったときにきちんと対応してもらえたか」という購入後の体験が、次も買うかどうかの判断材料になります。

なかでも問い合わせへの対応は、顧客の印象に強く残ります。
困ったときに素早く丁寧に対応してもらえた経験は、「このお店なら安心して買える」という信頼に変わります。
反対に返信が遅かったり事務的だったりすると、商品に満足していても次の購入をためらわせる原因になります。

つまりECにおける顧客満足度は、初回購入で終わる顧客と2回目も買ってくれる顧客を分ける分岐点だといえます。

新規獲得コストが上がるほど既存顧客の満足が効いてくる

EC市場では競合が増え続けています。
広告で新しい顧客を獲得するコストも、年々重くなっていると感じている事業者は多いのではないでしょうか。

特に単品リピート通販では、初回購入だけでは広告費を回収できない設計が一般的です。
2回目、3回目と購入が続くことで、ようやく利益が出る構造になっています。
このとき初回購入の満足度が低いと、顧客は2回目を待たずに離れてしまいます。
せっかくかけた広告費も、回収されないまま終わってしまいます。

実際の現場では、新規獲得には力を入れていても、購入後の体験づくりが手薄なケースは珍しくありません。
既存顧客の満足度を高めることは、広告費の効率を上げる施策でもあるのです。

レビューや口コミが次の新規顧客を連れてくる

顧客満足度は、既存顧客のリピートだけでなく新規顧客の獲得にも影響します。
その経路となるのが、レビューや口コミです。

ECでは商品を手に取れない分、多くの顧客が購入前にレビューを確認します。
実際に使った人の声は、商品ページの説明よりも信頼されやすいものです。
しかも読まれているのは、商品の評価だけではありません。
問い合わせへの対応や配送時のトラブル対応について書かれた内容も、お店を選ぶ判断材料になっています。

満足した顧客は好意的なレビューを書き、それが次の顧客の背中を押します。
反対に不満を持った顧客のレビューは、まだ出会っていない顧客まで遠ざけてしまいます。
顧客満足度は、目に見えにくい形で新規獲得の成果にも跳ね返ってきます。

顧客満足度を測る代表的な指標と調査方法

CSAT・NPS・CES・JCSIの違い

顧客満足度を測る指標には、いくつかの種類があります。
代表的な4つを表にまとめました。

指標何を図るか主な測り方
CSAT(顧客満足度スコア)特定の商品や体験への満足度「満足」から「不満」までの5段階などで回答してもらい、満足と答えた人の割合を見る
NPS(ネット・プロモーター・スコア)他の人に薦めたいと思う度合い0〜10の11段階で回答してもらい、9〜10の「推奨者」の割合から0〜6の「批判者」の割合を引く
CES(顧客努力指標)手続きや問題解決にかかった手間「問題の解決は簡単でしたか」などの質問に段階評価で回答してもらう
JCSI(日本版顧客満足度指数)業界をまたいだ企業・ブランドの満足度日本生産性本部が実施する大規模調査で、企業同士を比較できる

4つの指標は、それぞれ見ている場面が異なります。

CSATは、もっとも直感的でわかりやすい指標です。
「商品が届いた直後」「問い合わせが解決した直後」など、特定の体験の直後に聞くのに向いています。
質問がシンプルなので、回答する顧客の負担も小さく済みます。

NPSは、満足度よりも一歩踏み込んで「人に薦めたいか」を聞く指標です。
満足していても、人に薦めるほどではないという顧客は少なくありません。
NPSはその差を捉えられるため、将来のリピートや口コミを占う指標として使われています。

CESは、顧客がどれだけ「手間」を感じたかに注目します。
ECでいえば、会員登録や決済、返品手続きのしやすさを測るのに適しています。
大きな感動を与えることよりも、小さな面倒を取り除くことが満足につながる場面は多いものです。

JCSIは自社で測る指標ではなく、業界の中での立ち位置を知るための参考情報です。

自社でまず取り組むなら、CSATとNPSの2つから始めるのがおすすめです。
すべてを一度に導入しようとすると、集計と分析の負担が大きくなり、続かなくなってしまいます。

アンケートとインタビューの使い分け

満足度を調べる方法は、大きくアンケートとインタビューに分かれます。

アンケートは、多くの顧客から数値でデータを集めるのに向いています。
満足度の全体像や、時期ごとの変化をつかむことができます。
ECなら購入完了画面やフォローメールにアンケートのリンクを入れれば、手軽に始められます。

インタビューは、少人数の顧客から深い話を聞く方法です。
アンケートの数値だけでは「なぜ満足したのか」「なぜ不満だったのか」まではわかりません。
何度も購入している優良顧客や、しばらく購入が途絶えている顧客に話を聞くと、数値の裏にある理由が見えてきます。

まずアンケートで全体の傾向をつかみ、気になる点をインタビューで掘り下げる。
この順番で進めると、調査の結果を施策に結びつけやすくなります。

ECで満足度調査をするときの注意点

ECで満足度調査をするときに気をつけたいのが、回答の偏りです。

アンケートに答えてくれるのは、お店に強い好意を持つ顧客か、強い不満を持つ顧客に偏りがちです。
「特に不満はないけれど、なんとなく次は買わなかった」という顧客の声は、アンケートにはなかなか表れません。
しかし売上にとって本当に大きいのは、この静かに離れていく顧客の存在です。

また、アンケートは回答率が高くないことも多いです。
回答してくれた一部の声を、顧客全体の声だと思い込まないよう注意が必要です。

こうしたアンケートの弱点を補うのが、次に解説する購買データの活用です。

ECでは購買データからも満足度を読み取れる

「満足」と「再購入」はイコールではない

顧客満足度が高ければ、顧客は必ずリピートしてくれる。
そう考えたくなりますが、実際はそう単純ではありません。

満足していても、再購入しない理由はいくつもあります。
単純にお店の名前を忘れてしまうこともあります。
次に必要になったとき、たまたま目に入った別のお店で買ってしまうこともあります。
商品を使い切るタイミングで、思い出してもらえなかっただけというケースも少なくありません。

つまり「満足したかどうか」と「また買ってくれるかどうか」の間には、もう一つ壁があるのです。
その壁を越えてもらうには、満足度を測るだけでなく、顧客が実際にどう行動しているかを見る必要があります。

ECの強みは、その行動がすべてデータとして残っている点です。
実店舗では難しい「誰が、いつ、何を買ったか」の把握もECなら最初からできています。
アンケートに答えてくれない顧客の満足度も、購買データを通じてある程度読み取れます。

F2転換率・購入間隔・離脱タイミングに表れるサイン

購買データの中でも、満足度のサインが表れやすいのが次の3つです。

1つ目はF2転換率です。
F2転換率とは、初回購入した顧客のうち2回目の購入に進んだ人の割合を指します。
初回購入の体験に満足していなければ、2回目の購入は起こりません。
そのためF2転換率は、初回購入の満足度をもっとも素直に反映する数字といえます。

2つ目は購入間隔です。
化粧品や食品のような消耗品なら、商品を使い切る時期はおおよそ予測できます。
その時期を過ぎても次の注文がない場合、顧客の気持ちが離れ始めているかもしれません。
購入間隔が以前より長くなっている顧客も、注意が必要なサインです。

3つ目は離脱のタイミングです。
顧客が何回目の購入のあとに離れていくことが多いかを見ると、体験のどこに問題があるのかが見えてきます。
2回目で離れる顧客が多いなら、初回の体験に原因がある可能性が高いでしょう。
3回目や4回目で離れるなら、飽きや提案の単調さが原因かもしれません。

アンケートと購買データを組み合わせて見る

アンケートと購買データは、どちらか一方だけでは不十分です。
組み合わせて見ることで、それぞれの弱点を補い合えます。

たとえばNPSで「推奨者」と答えた顧客なのに、購入間隔が空いているとします。
この顧客は満足しているものの、お店のことを忘れかけている状態だと考えられます。
必要なのはサービスの改善ではなく、思い出してもらうための適切なタイミングでの連絡です。

反対に、アンケートでの評価は低いのにリピートが続いている顧客もいます。
ほかに代わりの選択肢がないから買っているだけかもしれません。
こうした顧客は、競合が現れた途端に離れてしまうリスクを抱えています。

満足度の数値と実際の行動を並べて見ると、顧客ごとに打つべき手が変わってくることがわかります。

EC通販で顧客満足度を高める方法

購入前:期待値を正しく設定する商品情報とサイト体験

満足度を高める取り組みは、購入前から始まっています。
最初に見直したいのが、顧客の期待を正しく設定する商品情報です。

先ほど触れたとおり、満足度は期待と体験の差で決まります。
商品ページの情報が不足していると、顧客は自分の想像で期待をふくらませてしまいます。
その結果、届いた商品が想像と違えば、品質に問題がなくても不満につながります。

たとえばアパレルなら、モデルの身長や着用サイズを載せるだけでサイズ選びの失敗は減ります。
化粧品なら、1本で使える期間の目安や使用感を具体的に書いておくと安心です。
配送日数や送料、返品の条件も、購入前にわかる場所に明記しておきましょう。

サイトの使いやすさも満足度を左右します。
欲しい商品が見つからない。
購入手続きが長くて途中で面倒になる。
こうした小さなストレスは、購入に至った顧客の印象にもしっかり残ります。

購入直後〜到着後:不安を解消するフォローコミュニケーション

購入してから商品が届くまでの間、顧客は少なからず不安を抱えています。
「本当に注文できているかな」「いつ届くのかな」という気持ちです。

この期間に丁寧な連絡を送ることで、不安は安心に変わります。
注文確認や発送のお知らせを、わかりやすく確実に届けることが基本です。

特に大切にしたいのが、商品が届いた後のフォローです。
商品の使い方や保存方法、よりおいしく食べるコツなどを届けると、顧客は商品の価値を最大限に感じられます。
商品の良さが伝わりきらないまま使われてしまうのは、とてももったいないことです。

到着後のひと言があるかどうかで、顧客が受け取る印象は大きく変わります。
こうしたフォローは、一度にまとめて送るより段階的に届けるのが効果的です。
購入からの日数に合わせて内容を変えるステップメールは、そのための代表的な手法です。

2回目以降:顧客に合わせた提案で「わかってくれている」体験をつくる

2回目以降の購入で満足度を高める鍵は、顧客一人ひとりに合わせた提案です。

全員に同じ内容のメルマガを送り続けると、顧客にとって関係のない情報が増えていきます。
興味のない案内が続けば、やがてメールは開かれなくなります。

一方で購入履歴をもとに提案を変えると、メールの受け止められ方はまったく違ったものになります。
前回買った商品と相性の良い商品を紹介する。
使い切りそうな時期に、さりげなくお知らせする。
こうした連絡は売り込みではなく、気の利いた案内として受け取られます。

顧客が「このお店は自分のことをわかってくれている」と感じたとき、満足は信頼へと育っていきます。
それがロイヤルティにつながり、長く続くリピートを支える土台になります。

顧客満足度の向上を仕組みで続けるために

一人ひとりに合わせた対応は手作業では続かない

ここまで紹介した取り組みには、共通する課題があります。
それは、手作業では続けにくいという点です。

顧客ごとに購入日や購入商品を確認し、到着後のフォローを送る。
使い切りの時期を計算して、ちょうどよいタイミングでお知らせする。
購入回数に合わせて内容を変える。
顧客が数十人なら手作業でも対応できますが、数千人、数万人となると現実的ではありません。

EC事業者からは「やるべきことはわかっているのに手が回らない」という声がよく聞かれます。
満足度を高める施策は、一度やって終わりではなく続けてこそ意味があります。
だからこそ、仕組みで回す発想が欠かせません。

CRMツールで満足度向上の施策を仕組み化する

そこで役立つのが、顧客データをもとにコミュニケーションを自動化するCRMツールです。
購入履歴や行動データに合わせて、最適なタイミングで最適な内容を届けられます。
さらにF2転換率やLTVなどの数字を継続的に追えるため、施策の効果を確かめながら改善を重ねられます。

CRMツールを選ぶときは、自社のECカートと顧客データをスムーズに連携できるかを確認しましょう。
購入後のフォローや使い切りのお知らせなど、満足度に直結するシナリオをすぐに始められるかどうかも確認しておきたい点です。
設定に手間がかかりすぎるツールでは、結局運用が止まってしまいます。

アクションリンクには、EC通販で成果が出やすい配信シナリオを「鉄板シナリオ」としてあらかじめ用意しています。
購入後のフォローやレコメンドといった施策を、専門知識がなくてもすぐに始められるのが特長です。

まとめ

顧客満足度(CS)は、顧客が商品やサービスに感じた満足の度合いです。
その大きさは、購入前の期待と実際の体験の差によって決まります。

EC通販では、商品を手に取れないまま購入する分、届いた後の体験が満足度を大きく左右します。
そしてその満足度が、2回目以降の購入やレビューを通じて、売上全体に影響していきます。

満足度を知るには、アンケートで顧客の声を聞くことが基本です。
ただしECでは、購買データにも満足度のサインが表れています。
顧客の声と実際の行動を合わせて見ることで、本当に手を打つべきポイントがはっきりします。

満足度を高めるためには、購入前の期待づくりから到着後のフォロー、そして2回目以降の提案までを一つの流れとして考える必要があります。
どれか一つだけを頑張っても、体験のどこかに穴があれば満足は続きません。

そして何より大切なのは、こうした取り組みを一時的な施策で終わらせず、仕組みとして続けていくことです。
顧客一人ひとりと丁寧に向き合い続けた先に、長く選ばれ続けるお店があります。
顧客満足度を「測るもの」から「育てるもの」へと捉え直し、リピート売上の土台づくりに取り組んでいきましょう。

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執筆者情報

中村 隆嗣 中村 隆嗣

株式会社ファブリカコミュニケーションズ アクションリンクチーム 部長

2003年に北国からの贈り物へ入社。自社サイトの立ち上げから参画し月商3億円を超える成長まで導く。楽天/Yahoo!/Amazon/ぐるなびなど全店のマーケティング戦略責任者として各モールにおいて数々の賞を受賞。 2014年株式会社メディックスに入社し、年商2500億規模の大手製薬会社や外資系アパレルブランドなど、メーカー直販ECの事業コンサルティングを手がける。 コンサルティング先で多く見られたCRMの課題を解決すべく、2018年アクションリンクを立ち上げ、2023年ファブリカコミュニケーションズにジョイン。現在に至る。

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